日本のマスク事情
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 01:56 UTC 版)
スペイン風邪の際にはマスクが使用された。戦前には「竹の花が咲くと流感が流行る」というような俗説があり、こうした噂が出るとマスク使用者が現れた。寺田寅彦は、街にマスク人種と非マスク人種が存在すると記している。戦後になると、大気汚染、学校給食、不良文化などを経て、特に1980年代以降の花粉症の患者増加からマスクが普及した。 また、日本では咳エチケットではなく自己の感染予防のためにマスクを使う習慣がある。東京都心部(※調査地:東京駅前、渋谷駅前)でこの習慣が一般化したのは2000年代以降で、それ以前には、少なくとも東京都心部では、マスクをしている人はほとんど見かけられなかった。それが2018年(平成30年)頃には打って変わって冬場に4割以上の人がマスクをしていたというデータがある。 都会でこの習慣が一般化したのは、折からの花粉症の患者増加に加えて、2002年(平成14年)の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行による予防意識の高まりの影響が指摘されている。2009年新型インフルエンザの世界的流行では、家庭用マスクの売り上げが急増し、マスクが売り切れる騒ぎが発生していることから、この頃までに予防のためのマスクの使用が定着したものと考えられている。 このような習慣は、韓国での風邪予防のためのマスク使用やベトナムでの粉塵を防ぐための使用を除いて、日本以外には見られず、きれいな環境でもマスクを使用するのは、世界的に珍しかった。 新型コロナウイルス感染症の流行により急速に普及したことで、各国では使用済み不織布マスクの不法投棄問題が顕在化している。
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