文字の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 06:08 UTC 版)
ヒエログリフは象形文字と呼ばれるように絵に似ているが、その見かけに反して、表意文字よりも表音文字が多い。表意文字の音を借りることもある。漢字でいえば仮借の使用法に近い。表音文字では通常母音は無視され、子音のみが表記される。このため、例えば"mr(i)"という単語があっても、「愛、ミルク壺、運河、ピラミッド、闘牛の牛」等という名詞と、「縛る」という動詞などのどの意義かはっきりと分からない。 その単語に、発音されない文字が付け加えられることがある。これを決定詞という。 愛 ミルク壺 縛る 闘牛 以上のように、決定詞があることにより、意味の決定が可能となる。また、表意的に使われている事を示す為に "r" の音を表すヒエログリフを音声補字、いわば送りがなとして添える事もある。これでmrと発音し、音声補字のrや決定詞は発音しない。 ヒエログリフは右からでも左からでも書け、縦書き横書きも同様に行える。読む方向は、生物の形をしたヒエログリフの頭の向きで判断し、頭が向いている方向が文頭になる。 ヒエログリフで表される音は子音のみであり、母音は表記されないため発音に支障が生じる。ここで、エジプト学では利便性を考慮し、実際のコプト・エジプト語などからの再建発音ではなく仮の発音法を主に用いる。 子音が二つ以上続く単語の場合は、各子音間に"e"音を補って読む。例: nfr → nefer(ネフェル)(美しい) A, a, i, w は本来子音文字だが、それぞれ母音「ア」、「アー」、「イ」、「ウ」として読む。ただし、完全にこの規則に従うわけではない。例: zA → サア(息子)。 ra → ラー(太陽神ラー)、wsir → ウシル(オシリス)、itn → アテン(太陽神アテン)。 フランス式では"e"の代わりに"o"を補い、itnをAton(アトン)とする場合もある。同様に、imnをAmun(アムン)、Amon(アモン)ともされる。
※この「文字の特徴」の解説は、「ヒエログリフ」の解説の一部です。
「文字の特徴」を含む「ヒエログリフ」の記事については、「ヒエログリフ」の概要を参照ください。
- 文字の特徴のページへのリンク