整理と整頓の意味の違い・使い方の解説
「整理」も「整頓」も、「ととのえる」という意味を持つ点では共通していますが、「取り除く・捨てる」という意味が含まれるかどうかに違いがあります。「整理」には「取り除く・捨てる」という意味が含まれる場合があり、「整頓」には含まれません。
■ 字義から理解する「整理」と「整頓」の意味の違い
整理は、「乱れがなく、正しくそろう」という意味を持つ単語「整」と、「ものごとの正しい順序や道筋」という意味を持つ単語「理」が組み合わさった熟語です。
つまり整理とは、「乱れている状態にあるものを、ものごとの正しい順序や道筋に従って、きちんとそろえて整えること」を意味します。
正しい順序や道筋に従って整える際には、不必要なものを取り除いたり、捨てたりする行為が必要になる場合があります。そのため、整理には「取り除く・捨てる」という意味が含まれる場合があります。
一方、整頓は、「乱れがなく、正しくそろう」という意味を持つ単語「整」と、「落ち着ける、整える」という意味を持つ単語「頓」が組み合わさった熟語です。
つまり整頓とは、「乱れがなく正しくそろうように、情報やものの順番や位置を整えること」を意味します。正しい順序や道筋に従わなくてもいいため、不必要なものを取り除いたり捨てたりする必要はありません。そのため、整頓には「取り除く・捨てる」という意味は含まれません。
■整理と整頓の使い分け
たとえば、机の上にあるものを仕分けたい時、「必要なものとそうではないものに分け、不要なものを捨てる」という行為が含まれる場合は「整理」を使います。ものを捨てず、種類や性質、用途などによって収納場所を仕分けたいだけであれば「整理」「整頓」どちらでも適切です。
同じように、本を本棚に置くといったような「ものを片付ける」場面でも、不要な本を捨てる行動を伴う場合には「整理」を使います。本を捨てることがないとすれば「整理」「整頓」どちらでも適切です。
■「整理」と「整頓」の手順
整理と整頓について、ふたつの言葉を組み合わせた「整理整頓」という言葉があります。「整理整頓」とは言いますが、「整頓整理」と言いません。その理由には、整理整頓をする手順が関係しています。
整理整頓をする際の手順について、整理収納アドバイザーのすはらひろこさんは下記のように言っています。
1 積み重なっているモノを調べる
2 大まかに分ける。グループごとのかたまりにして並べる
3 ここになくてもいいモノ、いらないモノを分けて、処分する
4 残ったモノを入れ分ける
(参考:https://allabout.co.jp/gm/gc/72652/)
1から3までは、正しい順序や道筋に従って整える行為なので「整理」です。そして、4が「整頓」だと言えそうです。このように、整理してから整頓すると、不要なものを処分してから整えることができるので、すっきりと片付けることができます。逆の順番だと、せっかく整頓したものを整理の段階で捨てなくてはならない可能性があります。そのため、「整理整頓」とは言いますが「整頓整理」とは言いません。
■「整理」の使用例
・この辺りはしっかり交通整理されているので、事故の心配が少なくて安心だ。
・定年退職を機に、きちんと身辺整理をしてみようかと思う。
・自分の仕事内容を整理する癖をつけてみたら、それが苦手克服にもつながっていた。
・ものが多すぎて置き場に困る。そろそろ部屋を整理した方がいいんじゃないか。
■「整頓」の使用例
・庭の管理を他人に任せてしばらく経った。万事整頓しているかを確認しに行こう。
・キッチンをDIYして収納スペースを広げた。これでキッチン用品の整頓がしやすくなったぞ。
・整頓された部屋にいると、心が落ち着く。
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