数と質量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 16:33 UTC 版)
トロヤ群小惑星の合計数の推計は、限られた空域でのディープサーベイの結果に基づいている。2000年代前半の推計によれば、L4には直径2km以上のものが16万個から24万個、1km以上のものが約60万個ある。L5にも同程度の数が存在するとすれば、1kmを超える木星のトロヤ群小惑星は100万個以上存在することになる。絶対光度が9.0以上のものは、おそらく全てが把握されている。この数は、小惑星帯に存在する小惑星の数に匹敵する。木星のトロヤ群の合計の質量は地球質量の0.0001倍、小惑星帯の小惑星の合計質量の5分の1と推計されている。 しかし、2000年代後半の2つの研究結果によると、上記の推計値は、トロヤ群小惑星の数を数倍に過大評価していることが示唆されている。この過大評価は、(1) 全てのトロヤ群小惑星が0.04程度の低いアルベドを持つと仮定しているが、小天体は実際には0.12程度の高いアルベドを持つこと、(2) 全天のトロヤ群の分布について、推計の誤りがあること、が原因である。新しい推計によると、2km以上の直径を持つトロヤ群小惑星の数は、L4とL5にそれぞれ6.3 ± 1.0×104と3.4 ± 0.5×104である。この数は、小さなトロヤ群小惑星の反射が大きなものよりも高ければ、2倍程度小さくなる。 L4に存在するトロヤ群小惑星の数は、L5に存在するものよりもかなり多いが、明るいトロヤ群小惑星の数は、2か所の間でほとんど変わらず、この不均衡はおそらく観測バイアスによるものと考えられる。しかし、あるモデルでは、L4の位置は、L5よりもかなり安定とされる。 トロヤ群小惑星のうち最大のものはヘクトルで、203 ± 3.6 km の平均直径を持つ。全体の平均よりも大きいトロヤ群小惑星は少ない。大きさが小さくなると、84kmまでその数は急速に増え、この傾向は小惑星帯の小惑星よりも顕著である。直径84kmのものは、アルベドを0.04とすると絶対等級9.5に相当する。直径4.4kmから40kmの範囲では、トロヤ群小惑星の大きさの分布は小惑星帯の小惑星の大きさの分布に似ている。データが欠けているため、小さなトロヤ群小惑星の質量については何も分かっていない。大きさの分布から、小さなトロヤ群小惑星は、大きなトロヤ群小惑星の衝突によって生成したものであることが示唆される。
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