敬語の成立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 14:09 UTC 版)
浅田秀子は神道の祝詞から敬語が発生したという説を提唱しており、太古には神々を崇めるための特別な言語形式であり、神との距離を図ったものである。事実、古代の敬語は祭祀を行う天皇のみが用いてきたもので、祝詞に敬語の萌芽が見られる。絶対的な立場である神に対して「絶対敬語」として敬語が誕生し、従来は相手の身分に応じて敬語が用いられてきた。「です・ます」のような丁寧語は用いられておらず、この丁寧語は8世紀ごろに誕生したとされる。拡大して天皇に対して敬語が適用されるようになり、身分制度における敬語の使用へも発達していった。 尾鼻靖子によれば、祝詞は畏怖の感情を表明するもので、ソトの存在であり、また上の存在である神に対して、ウタう、つまり訴えを行うものである。豊作に対する感謝の気持ちを訴えたり、天地災害に対しては怒りを鎮めるよう、あるいは病が癒えるよう、またそれが治れば感謝を訴えた。敬語が使われる動機は自らではなく神という畏れ多い存在があり、畏れ多い絶対的かつ上位の存在である神に対して慎重に言葉を選ぶ必要があった。 敬語の起源は「タブー」にあるとする金田一によるタブー起源説があるが、疑問が呈される。
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