さんいつ‐かてい〔‐クワテイ〕【散逸過程】
散逸過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/21 20:26 UTC 版)
星周円盤の進化によって生じる重要な現象の一つに、物質の散逸がある。中心星の質量に関する情報と共に、星周円盤の各進化段階における物質の散逸過程を調べることは、進化の時間尺度を知る手がかりとなる。例えば、遷移円盤(内側に穴がある円盤)で物質の散逸過程を観測したところ、星周円盤の平均寿命は、およそ1000万年と見積もられた。 散逸過程を起こす仕組みや、散逸過程が起きる段階、時間尺度について、定説と言える理論はまだない。いくつかの仮説およびそこから予測される円盤の観測的な特徴が、星周円盤の散逸過程を説明すべく提唱されている。主な仮説には、大きい粒子へ成長するのに伴って塵の不透明度が下がることによるという説、中心星(あるいはその恒星風)から来るX線や紫外線の光子によって光蒸発が起こるという説、円盤内で誕生した巨大惑星の力学的な影響という説がある。 散逸過程の時間尺度は、かなり短いと予想される。星周円盤の内周と外周が、ほぼ同時に散逸してしまったとみられる天体もあり、散逸過程が始まると、典型的には50万年程度で内周から外周まで散逸するのではないかとみられる。
※この「散逸過程」の解説は、「星周円盤」の解説の一部です。
「散逸過程」を含む「星周円盤」の記事については、「星周円盤」の概要を参照ください。
- 散逸過程のページへのリンク