散逸首巻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 17:27 UTC 版)
式部卿宮に息子が一人いた。容貌・才能に優れ、父宮も母も周囲もその将来を期待していた。元服して源姓を賜り、帝もいずれは内親王の降嫁もと考えるほどであった。ところが思いもかけず父・式部卿宮が死去してしまい、息子は出家も考えたが母のことを思って止まったものの、失意の内に暮らしていた。しばらくすると母は父と住んでいた家に左大将を迎え再婚したことによって息子は母を嫌う一方でますます亡き父を慕うようになっていった。義父となった左大将は自身と死んだ先妻の娘である二人の姫を連れてきており、上の娘である大君と息子とを結ばせようとした。息子は美しい大君に心を引かれるものの相手にすることは無かった。そのような中で息子は中納言となった。中納言は人々の噂と夢のお告げで父式部卿宮が唐の国の太子に転生したことを知り、どうしても会いたいと思ったものの、中納言という高位の身分では気ままに外国に赴くこともままならなかった。最初は諦めていたものの、やがて堅い意志をもって帝に願い出て、さまざまな困難や反対を乗り越えて、やっと遣唐使として三年の間唐の国へ行く許しを得ることが出来た。その一方で中納言は唐の国へ行く直前に、帝の皇子式部卿宮と結納した大君と関係を結んでしまう。中納言が唐の国へ行ってしまった後で大君の懐妊が明らかになり、そのために大君と式部卿宮との結納が解消され、代わって妹の中の君が式部卿宮のもとへ行くこととなった。大君は中納言の母邸で剃髪し、中納言の娘である児姫君を出産した。
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