散乱円盤およびケンタウルス族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 04:45 UTC 版)
「エッジワース・カイパーベルト」の記事における「散乱円盤およびケンタウルス族」の解説
詳細は「散乱円盤天体」および「ケンタウルス族 (小惑星)」を参照 散乱円盤は天体がまばらに分布する領域であり、カイパーベルトと重複があるが 100 au 以遠にまで広がっている。散乱円盤に属する天体は散乱円盤天体 (英: scattered disk object, SDO) と呼ばれる。散乱円盤天体は非常に細長い楕円軌道を持ち、その軌道はしばしば黄道から大きく傾いている。太陽系形成の多くの理論モデルでは、かつてはカイパーベルト天体も散乱円盤天体も一つの始原的な帯状の領域を形成しており、後の重力的な影響、特に海王星の重力の影響により外側へ移動させられ、あるものは安定な軌道に移行し (カイパーベルト天体)、あるものは不安定な軌道の散乱円盤へと移行したことが示されている。散乱円盤にある天体の軌道は不安定であるため、太陽系の短周期彗星の多くはこの領域に起源を持つのではないかと考えられている。散乱円盤天体の活動的な軌道はしばしば内部太陽系へ進入する軌道となり、まずはケンタウルス族天体へと変化し、その後短周期彗星の軌道へと移行する。 太陽系外縁天体を公式に分類している組織である小惑星センターによると、カイパーベルト天体は、厳密にはその起源や組成には関係なく定義されたカイパーベルトの領域内のみを公転するものを指す。カイパーベルトの領域より外側で発見された天体は、散乱円盤天体と分類される。一部の科学界では「カイパーベルト天体」という用語は外部太陽系に起源を持つ氷の小天体の類義語として扱われており、たとえその軌道が太陽系の歴史の大部分でカイパーベルトの外側 (例えば散乱円盤領域) にある場合でも同じ用語を用いる場合がある。この立場に立った場合、散乱円盤天体はしばしば「散乱カイパーベルト天体」(英: scattered Kuiper belt object, SKBO) と呼ばれる。冥王星より重い天体であるエリスはしばしばカイパーベルト天体とみなされる場合があるが、厳密な分類上は散乱円盤天体である。カイパーベルトの厳密な定義については天文学者の間でまだ合意に達しておらず、未解決となっている。 ケンタウルス族天体は普通はカイパーベルトの一部とはみなされないが、これらも同じく散乱された天体である。散乱円盤天体との唯一の違いは、外側にではなく内側に散乱されたという点である。小惑星センターでは、ケンタウルス族と散乱円盤天体を散乱天体として一緒のグループとして扱っている。
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