散乱と周期性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/26 23:32 UTC 版)
この自由電子のモデルにおける格子の周期ポテンシャルは弱くなくてはならない。そうでなくては電子は自由ではなくなるからである。散乱の強さは主に系の形状およびトポロジーに依存している。散乱断面積のようにトポロジカル的に定義されたパラメータは、ポテンシャルの大きさとポテンシャル井戸の大きさに依存している。1次元、2次元、3次元の空間では、ポテンシャル井戸はポテンシャルの大きさや符号や大きさがどれくらい制限されるかに関わらず常に波を散乱させる。一次元格子の粒子の場合、クローニッヒ・ペニーモデルのようにポテンシャル、格子間隔、ポテンシャル井戸の大きさの値を代入することにより、分析的にバンド構造を計算することができる。2次元及び3次元の問題では、いくつかのパラメータを有する類似のモデルに基づいて正確にバンド構造を計算するのはより難しいことである。それでもなお、バンド構造の特性は摂動法を用いることでほとんどの領域で容易に近似をすることができる。 理論的には、格子は無限大の大きさなので、弱い周期的散乱ポテンシャルは最終的に波を反射するのに十分な強さになる。散乱の過程は結晶構造の周期的ポテンシャルによる良く知られた電子のブラッグ反射をもたらす。これは分散関係とブリルアンゾーンにおけるk空間の分割の周期性の原因である。周期的エネルギー分散関係は以下の式で表される。 E n ( k ) = ℏ 2 ( k + G n ) 2 2 m {\displaystyle E_{n}(\mathbf {k} )={\frac {\hbar ^{2}(\mathbf {k} +\mathbf {G} _{n})^{2}}{2m}}} G n {\displaystyle \mathbf {G} _{n}} は E n ( k ) {\displaystyle E_{n}(\mathbf {k} )} のバンドの逆格子ベクトル[要説明]である。 右図は、長さaの格子単位を持つ1次元格子の逆空間における3つの周期の分散関係を示している。
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