教育の費用負担
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 23:51 UTC 版)
教育のためには種々の形での費用が必要である。その費用としては、教育サービスを供給するために用いられる人的・物的資源の使用、教育を受けるものがその期間もし就業すれば得られたであろう所得を犠牲にしなければならないという意味での、間接的費用あるいは機会費用がある。このような教育のための費用が、誰によって、どのような形で負担されなければならないかという問題がある。現実には、それぞれの国の教育制度の相違によって、負担の仕方もさまざまである。しかし多くの国においては、初等(あるいは中等)教育は義務教育として、その費用を公共的に負担するが、高等教育については、何らかの比率での私的負担と公的負担の混合の形の負担である。教育サービスは厳密な意味では公共財ではないが、さりとて純粋な私的財として完全負担するものでもない。それはプラスの外部効果を持ち、また教育文化政策の立場から、教育の普及および教育水準の向上が望ましく、したがって、政府がその供給についての積極的役割を果たすことが期待されるという意味で、価値欲求財の性格も持つものである。この性格は義務教育において最も強い。このような教育サービスの性格によって、その費用の全部または一部を公共的に負担する根拠がある。しかし、教育の費用の私的負担と公的負担の配分割合が適正でなく、例えば公的負担の割合が不適当に高いと、教育サービスの浪費や負担の不公平といった問題が生ずる。教育の費用の部分を公的に負担する場合でも、教育を受けるものに対する補助金(奨学金など)の給付あるいは貸付、教育サービスの供給者(学校などの教育機関)に対する補助金の交付といった種々の方式がある。
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