放射冷却の条件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/21 03:05 UTC 版)
絶対温度が零度ではない全ての物体は、プランクの法則により電磁波を放射している。電磁波を放射している物体は温度が下がり、他から放射を受けた物体は温度が上がる。 昼間、太陽の光が地表面に当たっている時、地表面は太陽放射を受けて温度が上昇する。逆に夜間は、地表面から宇宙空間に向けての放射があり、地表面の温度は低下する。このとき、大気中に雲が存在すると、雲からの放射を地表面が受けることにより、地表面の温度低下が妨げられる。一方、大気中の水蒸気が少ないよく晴れた夜間(日本では冬季間が代表的)には、地表からの放射はそのまま宇宙空間に放出されるため、地表付近の温度が低下しやすい。この状態を放射冷却と呼ぶ。 風が強い場合には、放射冷却が起こっても空気が混合して上空の暖かい空気が降りてくるため、放射冷却は弱くなる。また、水は比熱容量が大きいため放射冷却が起こりにくい。海岸や湖岸などでは、風が弱くても海陸風や湖陸風によって自然と混合が起こるため、水辺に近いほど放射冷却が弱くなる。山や丘に囲まれた盆地や窪地では、低地に冷気が溜まって冷気湖となり、混合が抑えられるので放射冷却が強い。広大な大陸の内陸部では、盆地でなくとも放射冷却した冷気層が均一に広く存在するため、混合が抑えられて放射冷却が強い。 さらに、上空に寒気が流入するなど、大気上層から中層が冷たい場合は、それに応じて下層の温度低下も大きく、より放射冷却が強い。 放射冷却によって地表付近は冷える一方で、地中は地熱が保持されているため、地中深くなるほど放射冷却による温度低下が小さくなる。また、植物などの地面から離れたものは、地表面と違って地熱の伝導を受けないので、地表面よりも若干温度低下が大きい。ただし、断熱効果のある覆いなどを植物の上に被せると、覆いの温度が低下してもその下は保温され、温度低下が小さくなる。 一般的に、比熱容量の大小差により、湿った地面は温度低下が小さく、乾燥した地面や古い積雪はやや大きく、新雪はかなり大きい。新雪に関しては、空気を多く含むので地熱が伝わりにくいことが関係している。このため、砂漠や乾燥地の1日の気温差は著しい。 放射冷却による低温を注意喚起する場合は、強い放射冷却が起こったり起こることが予想される場合である。そのため、特に晴れた夜間に限って放射冷却が発生するかのような誤解も見受けられる。正確に言えば、放射冷却はどんな場合においても常に起こっている。
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