放出と環境汚染
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 01:22 UTC 版)
原子力施設から出るトリチウムの自然環境中への放出は広く行われており、イギリスでは1998年から2002年の期間、毎年3ペタベクレル程度のトリチウムが放出されている他、カナダ、アルゼンチン、フランス、スペイン、アメリカ、ドイツ、日本でも放出されていた。この期間、トリチウム以外の放射性物質の放出ベクレル数はトリチウムの1 %にも満たない水準である。これらは国際放射線防護委員会がトリチウムの線量係数が極めて低く、人体に対する影響も極めて少ないと判断しているためであり、各国は線量係数をもとに放出できる量を法律で定め、各原子力施設はこれに従って放出計画を立てている。大気圏内核実験が頻繁に行われていた時期には降水にも多量のトリチウムが含まれていたが、1963年3月の1680 TUをピークに減少し、2003年にはほとんど自然環境レベルの5 TU程度に戻っている。 トリチウムは、米国内の65の原子炉のうち48か所から漏れたことがある。1つのケースでは、リーク水は、リットル当たり7.5マイクロキュリー(280 kBq)のトリチウムを含み、飲料水の米国環境保護庁基準の375倍であった。 米国核規制委員会は、2003年の通常運転では、56基の加圧水型原子炉が40,600キュリー(1.50 PBq)のトリチウム(最大2,080 Ci、最小0.1 Ci、平均725 Ci)を放出し、24の沸騰水型原子炉が665キュリー(24.6 TBq)(最大:174 Ci;最小:0 Ci;平均:27.7 Ci)である。 米環境保護庁によれば、都市の埋立地に不適切に配置された自照式出口標識が、最近、水路を汚染することも判明している。
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