改革の特徴と影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 08:38 UTC 版)
「薩摩藩の天保改革」の記事における「改革の特徴と影響」の解説
調所が主導した薩摩藩の天保改革の特徴としては、他藩の藩政改革のように百姓一揆や打ちこわしなどといった農民層からの圧力が引き金となった改革ではなく、厳しい財政難をきっかけとした、いわば上からの改革として遂行されたことが挙げられる。その結果、改革は藩主とその側近という極めて狭い人間関係の中で、藩主の意向を絶対視する環境下で進められたため、藩内では領主第一主義、藩外に関しては露骨な藩益第一主義を貫いた形の改革となった。 このような上からの改革は、農村における生産力向上を前提とせず、逆に生産物の徹底的な収奪によって市場に流通する品物を絞り出す形で進められた。徹底的な収奪、指導の強化によって一時は多くの利益を挙げるようになった砂糖が、他領産の良質な砂糖が流通するようになって価格が暴落して苦境に追い込まれるなど、強制力による改革の遂行には限界があった。 その一方で改革によって備蓄した金は、斉彬による洋式工業の創始や大砲、銃器、火薬の製造、洋式戦術の採用など、近代日本の先駆けとなる形で利用され、幕末から明治維新にかけて薩摩藩が雄飛するきっかけを作った。明治維新に際して薩摩藩の軍事力は大きな力を発揮するが、その軍事力を生み出す原動力となったのが薩摩藩の天保改革であった。
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