操作的診断基準に関わる問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 02:50 UTC 版)
「精神医学」の記事における「操作的診断基準に関わる問題」の解説
20世紀半ばから生物学的精神医学や精神薬理学が急速な進歩を遂げた現代に至っても、いまだヒトの高次心理過程の研究は途上の段階にある。従って、特に精神医学分野は他の医学分野に比べ、根拠に基づく医療が不十分とされることがある。 このような課題に対処するため、現在の臨床現場で主に用いられる診断基準の「アメリカ精神医学会発表精神障害の診断(DSM-5)」、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD-10)」は、共に「操作的診断基準」を採用している。すなわち、従来の診断基準のように「患者の臨床的症状をもとに、各精神科医が病因を分析し診断するための基準」ではなく、統計学的に導かれた根拠に基づく医療の元、「患者の臨床的症状に合致する精神疾患を、各精神科医が診断するための基準」が「操作的診断基準」である。 これにより、例えばある患者が、違う精神科医の診療を受けるたびに、カルテに記載される精神疾患の診断名が異なるといった、従来の診断基準に由来する問題は少なくなり、精神医学・精神科医療の科学的発展に大きく貢献したとされる。一方、あくまでも問診時に患者から訴えられる症状に応じて診断が行われるため、あらかじめ診断基準を知っていれば症状を偽れる可能性があり、科学的な診断法と称しながらも、そもそも詐病などとの弁別が難しいという根本的問題も同時に指摘されている。 「精神障害の診断と統計マニュアル#批判」も参照
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