捕虫のしくみ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 04:32 UTC 版)
前述のように葉が筒になってそこに虫を落とす、落とし穴式の捕虫器を持つ。大半の種はよく似た捕虫器を持つが、一部は多少異なった構造を持つ。 普通のものは、先に述べたように細長い筒状の葉を持ち、真っすぐに立ち上がる。この型のもので大柄なのはキバナヘイシソウで、葉の高さは1m近くなる。先端は丸く開き、背中側から蓋が生じる。葉が出てくる時には、初めは入り口の部分は左右から閉じられ、蓋も左右から二つ折りになっている。成長すると、やがて入り口が開き、その周囲は少し外に向かって巻く。袋の内側は粉を吹いたようになってすべすべになっている。また、内側の下方では下向きの毛がはえていて、虫を下へと落とすようになっている。 袋の中には液体がたまっており、昆虫がこれに落ちると溺れて死に、分解吸収される。ただし、消化液は一部の種で確認されているものの、全体にはあまり分泌せず、分解の主力はそこに生息する細菌類によると言われる。 コヘイシソウは真っすぐに立つ葉をもつが、蓋が丸まってほぼ完全に口を覆ってしまう点が異なる。とはいえ蓋のほうが大きく隙間があるので、昆虫は、そこから上に進入することで袋に落ちる。 やや異なった外見をもつのがムラサキヘイシソウで、捕虫器は太くて短く、また蓋は口を覆わずに真っすぐに立つ。また、葉がロゼット状に地表に広がる。 全く異なった入り口の形をもつのがヒメヘイシソウで、入り口は葉の先端に開かない。葉は横に伸び、ロゼット状になる。その先端は丸く膨らみ、その膨らみが上に尖ってオウムの頭のような形になる。その部分の基部向きの面に丸い小さな穴が空いている。膨らみの先端側には斑点状に色の薄い部分があり、ここが光を通すために昆虫は穴からその方向に進んで捕らえられる。これは、形としては同じ科のダーリングトニア属の捕虫器の構造にやや似ている。
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