振売商売
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 14:33 UTC 版)
振売は火気を持ち歩かず、主に生の食材や調味料、調理済みの食品を売り歩くのが特徴で、食品を扱う商売のなかでも、特別な技術や知識が不要、店を構えるための権利なども不要だったので、簡単に開業する事が出来た。そのため振売は社会的弱者のための職業とされており、幕府は振売のための開業許可を50歳以上の高齢者か15歳以下の若年者もしくは身体が不自由な人物に与える、と触れ書きを出した。 1837年(天保8年)から約30年間書き続けられた『守貞謾稿』には、振売について“三都(江戸・京都・大坂)ともに小民の生業に、売物を担い、あるいは背負い、市街を呼び巡るもの”とあり、社会的弱者も振売によって健全に働き、生活できていたことがうかがえる。 また『守貞謾稿』には“平日より華やかに高く呼ぶ其の詞(ことば)に曰く「たいやたい、なまだこ、まだいー」と呼び行く也”と、魚売りのようすをうかがい知れる文章も残されている。 振売は商売をする場所が決まっておらず、『江戸名所図会』などは振売の描かれていないページのほうが少ないほど、江戸市中いたるところにいた。前述の通り、法律に従えば50歳以上と15歳以下の人間しか振売を開業する事はできないが、『守貞漫稿』のイラストにある振売たちにはその年齢には見えないものも多い。
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