戦略投票との親和性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/17 17:47 UTC 版)
「単記非移譲式投票」の記事における「戦略投票との親和性」の解説
単記非移譲式投票は、有権者に戦略投票を促す可能性が大きい。選挙結果の推測が可能で、合理的な投票行動をとる有権者ならば、自らの1票が死票になることを避けるために、(本命の候補者ではなく)当落線上にいる次善の候補者に投票することになる。このため、この条件の下では特定の候補者が極端に大勝することは無い。このことは、政党が他党の候補者から票を奪うためにその対立候補に似た候補者を立てる戦術擁立の可能性を示唆している。 また、選挙予測報道などで一旦「当落線より低い得票数しか獲得できない」と多くの有権者に判断された候補者は、当落線上の候補者に票を奪われさらに得票率が下がる、という悪循環に陥る。立候補の時点で十分な得票数の見込みを有権者にアピールできない候補者は、立候補の瞬間からこの悪循環に嵌まり、単に落選確実になるだけでは済まず、得票率がその下限である0%近くまで落ち込み、供託金没収も確実になる(泡沫候補)。逆に言えば、有権者の選択肢は公示日の時点から事実上制限されており、被選挙権を持つ人がその権利を実質的に行使するには、有力な集票組織からの公認やそれに代わる知名度(たとえばタレント政治家)が必要となる。このように、当選枠の数がMの選挙区では、泡沫候補に転落することなく選挙戦を戦い抜ける候補者は(M+1)人に限られるので、この選挙区から出馬する候補者数も次第に(M+1)人へ収斂していく(デュヴェルジェの法則)。 当選者の得票率は全員、(当落線ギリギリ程度の得票率と)等しくなるように収斂していく(当落線を越える得票は無駄票になるため、当落線上の候補者に奪われる) 次点以外の落選者は得票率が0%に収斂していく この二つの性質は、比例代表の項で述べた性質を生み出す根拠となっている。
※この「戦略投票との親和性」の解説は、「単記非移譲式投票」の解説の一部です。
「戦略投票との親和性」を含む「単記非移譲式投票」の記事については、「単記非移譲式投票」の概要を参照ください。
- 戦略投票との親和性のページへのリンク