戦略拝借論証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/22 12:03 UTC 版)
組合せゲーム理論(英語版)からの標準的な戦略拝借論証(英語版)(Strategy stealing argument)により、m,n,k-ゲームには、後手が勝つことを保証する戦略(後手の必勝戦略(英語版))が存在しないことが示されている。これは、どちらかのプレイヤーに与えられた任意の位置の余分な石が、そのプレイヤーのチャンスを改善することができるためである。 戦略拝借論証は、「後手の必勝戦略がある」と仮定することで、後手に必勝戦略がないことを背理法的に証明するものである。先手は最初に任意の手を指す。その後、先手は後手のふりをして、後手必勝戦略を採る。その戦略に基づいて石を置くマスに既に石が置かれていない限り、先手は後手必勝戦略を採ることができる。もしそのマスに既に石が置かれていた場合でも、先手は再び任意の手を指した後に、同様に後手のふりをして後手必勝戦略を続けることができる。すなわち、(本来の)後手がどこに石を置いても先手を邪魔することはできないので、これは先手の必勝戦略となる。この矛盾は、「後手必勝の戦略がある」という元々の仮定が間違っていることを意味しており、よって後手の必勝戦略は存在しない。 この論証は、後手に必勝戦略がない(最善手を採れば先手が負けることはない)ことを証明しているだけで、先手必勝であることは証明していない。よって引き分けになることもあり得る。また、実際の先手必勝戦略が何であるかまでは示していない。
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