後衛の防御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/11 04:42 UTC 版)
この時までに「サ・イーラ」と「サンスール」はかなりの損害を受けて、ほとんど無防備な状態だった。マルタンは今まさに艦尾方向へ応援に駆け付けんとしていた。この2隻に情報を伝えて、イラストリアスとクラジュース(英語版)から守るのが狙いだった。この2隻のイギリス艦は、「ベッドフォード」と「キャプテン」に取って代わるべく、フランス艦の方へ近づいていた。マルタンは、デュケーヌ(英語版)にその戦闘の指揮を執らせようともくろんでいたが、風が凪いだため、長い間フランス艦は足止めされてしまい、デュケーヌは、艦首を風上に回そうと苦心惨憺した。そうするうちに、「デュケーヌ」は32門艦「ロウスタッフ」の射程内に入り込み、フランス艦隊同様に足止めされて無力なロウスタッフ(英語版)に砲撃した。「ロウスタッフ」の艦長ベンジャミン・ハロウェル(英語版)は、下甲板の乗員を整列させた。しばらくたって、ナポリのフリゲート、「ミネルヴァ」が「デュケーヌ」の近くに寄ってきて、「ロウスタッフ」への注意を自分に向けさせた。「ロウスタッフ」は死傷者を出さなかったが、帆と艤装が切断された 。「デュケーヌ」は結局艦首を元に戻したが、風下に戦列を率いるようにというマルタンの命令に従う代わりに、風上の方へと向かった。 デュケーヌに率いられたフランスの戦列の後には、80門艦ヴィクトワールとトナンがいて、午前8時にこの2隻はイラストリアスとクラジュースの射程内に入り、両艦隊は激しい砲撃船を始めた。1時間に及ぶ戦闘の後、「イラストリアス」は艦体におびただしい砲弾を受け、フォアトップマスト、メインマスト、そしてミズンマストを失い、バウスプリットとフォアマストは損傷していた。「クラジュース」もまたメインマストとミズンマストを失った。3隻のフランス艦は最終的にその場を通り過ぎたが、この3隻に続く艦隊の艦はいなかった。「デュケーヌ」、「ヴィクトワール」、「トナント」は、「イラストリアス」と「クラジュース」の後方にいたイギリス艦に向けてわずかに砲撃を行ったが、その後「サ・イーラ」と「サンスール」を見捨てて離れて行った。マルタンはこの2隻を救助しようという気持ちはもはやなく、強くなりつつある順風の利を得て、再び北をめざした。一方でホサムは、前衛がひどく損傷を受けていて追跡できなくなっていたため、2隻のフランス艦の救援に甘んじた。この2隻は、艦隊が自分たちを見捨てたことが明らかになると、すぐさま降伏したそしてホサムはスペツィア湾に向かった。
※この「後衛の防御」の解説は、「ジェノヴァの海戦」の解説の一部です。
「後衛の防御」を含む「ジェノヴァの海戦」の記事については、「ジェノヴァの海戦」の概要を参照ください。
- 後衛の防御のページへのリンク