後継樹と遺伝子保存について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 03:17 UTC 版)
「幸神神社のシダレアカシデ」の記事における「後継樹と遺伝子保存について」の解説
アカシデには、ごくまれにしだれ性の個体が生じるといい、栃木県鹿沼市にある成就院境内や日の出町町内、福生市などにも類似の形態を見せるシダレアカシデが少数存在している。ただし、この木の種子をまいても、ほとんどの苗木はしだれ性を示すことがないといわれる。シダレアカシデを所有する日の出町の古老数人の話を総合すると、これらのシダレアカシデも実生ではなく接ぎ木であり、幸神神社のシダレアカシデから採取した種子を多量にまいた中から、わずかにあったしだれ性を示す苗木を普通のアカシデに「呼び接ぎ」という手法で接ぎ木して成育させたものだということであった。さらに最初に接ぎ木に成功した木から、呼び接ぎの手法を用いた接ぎ木を繰り返して木の数を増やしていったものとの推定がなされた。 森林総合研究所材木育種センターでは、2008年(平成20年)夏に挿し木、2009年(平成21年)と2010年(平成22年)夏に接ぎ木の手法を用いて増殖に取り組んだがいずれも成功しなかった。東京都林業試験場は、1998年(平成10年)9月から翌年8月にかけて、幸神神社のシダレアカシデの原木から冬芽と腋芽を採取した上で組織培養に取り組んだが、すべて枯死してしまった。 シダレアカシデの増殖に成功した事例は、幸神神社のシダレアカシデの子孫とみなされる個体を用いて呼び接ぎによる接ぎ木を行ったものだけである。この理由として、シデ類の穂木がきわめて細く短期間に衰弱するため、通常の挿し木や接ぎ木の手法では成功率が低いことが挙げられている。『「幸神神社のシダレアカシデ」樹勢回復調査報告書』93頁では、「原木周囲での台木の植栽(あるいは鉢植えの台木の持ち込み)が許可されるのであれば、後継樹育成のために「呼び接ぎ」を試みる価値はあるように思われる。」と指摘している。
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