形態音韻的分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/26 08:33 UTC 版)
ウサルファ語の形態素は3種類の形態音韻的なクラスに分けられ、後続の別の形態素の先頭の音素(以下、「後続」とする)に影響を及ぼす。それぞれの詳細は主に以下の通りである。 母音クラス(英: vowel class; 記号: V)後続が子音pやkである場合、それぞれ[b]、[g]に変化させる。ただし、音素としては/p/、/k/のままである。 鼻音クラス(英: nasal class; 記号: N):後続が子音/w/である場合、ʔkに変化させる。 後続が鼻音音素である場合、その鼻音を延長させる。つまり/m/はmmに、/n/はnnに変化させる。 後続が閉鎖音素である場合、前声門化させる。つまり/p/、/t/、/k/はそれぞれʔp、ʔt、ʔkに変化させる。 後続が母音である場合は、その母音の前にnが挿入される。 声門音クラス(英: glottal class; 記号: Q)後続が子音である場合、基本的にその子音を前声門化させる。つまり/p/、/t/、/k/、/n/、/y/、/w/はそれぞれʔp、ʔt、ʔk、ʔn、ʔy、ʔwに変化させる。ただし、後続子音がmの場合はq(ʔ)に変化させる。 後続が母音である場合にはその母音の前にrを挿入する。 形態素がどの形態音韻クラスに属するかの決定は、その形態素に続いて語や記述的な語句(英: descriptive phrase)の内側に起こる形態音韻的現象が基準とされている。 また、後続要素の声調のパターンを表すための声調クラス(英: tone classes)という区別も存在し、名詞語幹には2通り、動詞語幹には3通りのものが存在する。Bee (1973) ではこれらの区別は数字を用いて表されているが、このうち名詞語幹のものについては「1」の後ろに存在する音節核が低声調、「2」の後ろに来る音節核が高声調となる。動詞語幹の場合も「1」と「2」は名詞語幹のものとほぼ同様の効果を持つが、「3」には声調パターンを維持させる傾向が見られる。 なお上記のような音韻変化のほかに、声門音クラスの動詞語幹とraが組み合わさるとraがtaに変質する、keV2とniが組み合わさるとniがtiに変質するなどの例外的な変化も存在する。
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