年次有給休暇を取得した労働者に対する不利益な取扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:10 UTC 版)
「年次有給休暇」の記事における「年次有給休暇を取得した労働者に対する不利益な取扱い」の解説
年次有給休暇を取得した労働者に対して使用者が賃金の減額その他不利益な取扱い をすることは禁じられている(第136条)。不利益取扱いについては法施行当初より明文の規定がなくとも公序良俗に反するものとして行政指導が行われてきたが(昭和30年11月30日基収4718号、昭和53年6月23日基発355号)、昭和63年の改正法施行により法文上に明記された。ただし、第136条に違反した使用者に対する直接的な罰則は定められておらず、刑事的な強制力がないと解されている。 年次有給休暇を取得した労働者に対して使用者が各種の不利益な取扱いをすることは際限なく認められるものではなく、不利益な取扱いの程度によっては民事的には債務不履行や不法行為を構成し、使用者に損害賠償責任が生じる(名古屋高判金沢支平成10年3月16日、大阪地判平成10年9月30日)。特に、年次有給休暇を取得した労働者に対する不利益な取扱いが第39条で保障されている労働者の年次有給休暇の取得する権利の行使を抑制したり、その権利を保障した法の趣旨を実質的に失わしめる取扱いと認められる場合は、その取扱いは公序良俗に反し無効となる(民法第90条)。
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