平成21年改正をめぐる検証・検討の経緯
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「要介護認定」の記事における「平成21年改正をめぐる検証・検討の経緯」の解説
平成18年10月、厚生労働省は休止状態にあった「要介護認定調査検討会」を再開し、平成21年改正に向けた要介護認定見直しに着手した。第1回調査検討会の資料では、一次判定ソフトに用いた1分間タイムスタディ(高齢者介護実態調査)のデータが平成13年調査で古いこと、要支援2と要介護1の判別ロジックを一次判定に組み込むことが課題として示された。調査検討会は、1分間タイムスタディの実施(平成19年1~3月)、第1次モデル事業(平成19年12月)、第2次モデル事業(平成20年9~11月)を経て、平成20年11月の第6回で終了となり、新たな一次判定ロジックが完成して平成21年4月の改正を待つだけに思われた。 ところが、調査検討会の終了と前後する平成20年11~12月に、厚生労働省は調査検討会と別に「テキスト作成委員会」を開催し、調査項目の判断基準(選択基準)を変更して認定調査員テキストを改定した。調査検討会終了の段階になって調査項目の判断基準を変更することはそれまで明らかにされておらず、しかも変更内容が介護度の軽度化につながると見込まれたため、批判の声が巻き起こることになった。 平成21年3~4月にはメディアや国会での批判が著しいものとなり、抗しきれなくなった厚生労働省は、新たに「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」を設置し、4月13日に第1回会合を開催するに至った。さらに、検証・検討が終わるまでの間の経過措置として、更新申請をした被保険者が更新前の介護度と更新後の介護度を自由選択できるという超法規的措置をとるよう市町村に求めた。 検証・検討会では平成21年4月改正以降に介護度が軽度化している状況が確認され、平成21年10月から認定調査員テキストを再修正して平成21年4月改正以前の水準に戻すことになり、この問題は収束に至った。 しかし、これをきっかけに「公益社団法人認知症の人と家族の会」が要介護認定の廃止を提言するなど、要介護認定制度の廃止や簡素化を求める主張が顕在化する原因になった。
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