平和理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 16:42 UTC 版)
国際秩序は力の不均衡や、国際経済の影響などによって安定と不安定の状態を歴史上長年行き来してきた。ここではその安定した国際秩序が維持されている国際関係の定式化を行った理論について述べる。 単極平和論 圧倒的な力を持った大国の存在が世界を平和にするという理論である。この平和論の多くはパクス・アメリカーナを意味するが、中には世界政府思想などもある。 双極平和論 圧倒的な力を持った二ヶ国(勢力)の存在が、お互いに拮抗することで結果として世界を平和にすると言う理論である。この平和論の多くは米ソ冷戦期を意味する。 多極平和論 複数国による均衡、拮抗状態により世界秩序を平和に維持するという理論である。つまり、国連などの国際機関を中心とした平和論を意味する。 民主的平和論 民主主義の政治体制を採用する国家同士では戦争に訴える可能性が少ないという学説である。主にブルース・ラセットによって論じられており、民主主義の国家が好戦的でないとは限らないが、歴史的な経験則においては民主主義の国家同士が戦争を行うことが比較的に少ない傾向があるとされる。従って世界中の国家の体制を民主化することによって、世界の安全保障は確保することができるという考え方の基礎となっている。相互に高度な民主体制を構築できれば、軍事バランスとは関係なく平和関係が維持できるという点で、他の安全保障論とは一線を画している。その発想の源流はカントの平和思想にあるといわれ、カント的国際主義とも言われる。しかしながら、なぜ民主主義体制が国際関係における戦争を抑制するのかについては議論の余地がある。
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