平助の武勇伝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 14:28 UTC 版)
「あの旦那はひどい人ですよ。この前、私が家を掃除していたらいきなり旦那がやってきましてね…」 朝飯を食いにいこうと誘われ、両国に行ったら早すぎてまだ準備中。 「『「常盤屋」にでも行かないか?』と言われて、花やしきのほうまで行ったら直前でわき道に曲がっちゃった」 柳橋に来たので、「柳光亭」の鰻でも食べるのかと思ったら、 「代地の『万里軒』(西洋料理)がいいか? 茅町の『鹿の子』がいいか? 蔵前の『宇治里』がいいか?」 と次々と質問され、実際に蔵前通りに来たところで「線路沿いをズーッといって、電車が来ても避けなかったら15円やろう」。 何とか取り繕って許してもらったが、今度は三好町(「富士山」・牛肉)…駒方(「川枡」・泥鰌)…と引っ張りまわされ、やって来たのは浅草。 「飯が美味くなるように、運動でもしようか?」 「尾張屋」かな、「万金」かな…と期待をしたが、旦那の言葉は「浅草寺の境内にいる鳩に、豆を買って撒いてやれ」。 お堂の周りを五回まわって、人造の富士山に七回も登らされてもうフラフラ。しかも、旦那のほうを見ると、パンにバターをぬって食べていたりする。 千住へ来たから、『尾彦』で《鮒の雀焼き》でも食べるのかと思ったら、橋場に引っ張り込まれてお茶を何杯もガブガブ。 木母寺の「三遊塚」まで行ったと思ったら、門跡に引っ張ってかれて「俺の友達の墓があるから、その墓掃除をしろ」とのご命令。 仕方なく掃除を始めたら、たまたま水がかかった墓をすべて掃除させられ、都合238本もピカピカにする羽目に…。 その後もいろいろあって、結局王子の権現様でお百度を踏まされてバタン、キュー。 海老屋という料亭に運んでいってもらい、腹いっぱい食べたところで綱渡りをさせられて落っこちた。
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