巡礼地としてのテゼ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/15 10:16 UTC 版)
テゼ共同体は毎週多くの若者が訪れる巡礼の場所であるが、テゼ自体は聖地やパワー・スポットといわれるような場所とは一線を画す。例えば、カトリックの巡礼地であるルルドやサンティアゴ・デ・コンポステーラのように、聖書や聖人にまつわる場所や遺品があるわけではない。テゼ共同体の簡素な教会には、祈りを促すために置かれた素朴な装飾の他には、とりたてて特筆するものはない。 祈りの共同体を創るという着想を得て、相応しい土地を探しまわり、最終的にテゼ村に落ち着いたブラザー・ロジェ自身、テゼという土地には強い執着を持っていなかった。むしろテゼという名前が大きくなりすぎてしまったことに違和感を覚えたブラザー・ロジェは、テゼという名前を捨てて、まったく別の土地へ移り住むことを考えたことすらある。 美しい祈り、聖書の学び、同世代の若者との交流など、人々は様々な理由でテゼを訪れるが、ジェリノー神父(テゼの歌の作曲者の一人)によれば、何よりもそこにあるのは、「信じる共同体との出合い」であり、これは現代社会がもっとも必要としていることだという。そして巡礼者は、その信じる共同体の信仰をそのまま映し出す祈りを通して、「人間の存在の深みにある善良さ」に触れ、「自分自身でいられる空間」を体験する。 教皇ヨハネ・パウロ2世は、テゼ共同体を旅の途中の泉と表現した。また、テゼ共同体も巡礼者の最終目的地はテゼではないと明確に表し続けている。また「地上における信頼の巡礼」と呼ばれるヨーロッパ大会は、それぞれの場所、社会、教会で、また日常のなかでどのようにして巡礼を続けられるかという模索を助けるために、現地の諸教会とともに企画されている。
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