岸田稚魚とは? わかりやすく解説

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岸田稚魚

岸田稚魚の俳句

じゆぶじゆぶと水に突込む春霰
光陰のやがて淡墨桜かな
東京へ歩いてゐるやいぬふぐり
草木より人翻る雁渡し
鬼灯市夕風のたつところかな
鳥なんぞになり炎天に消えなむか
鹿の中鹿ひた急ぐ冬日かな
 

岸田稚魚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/28 17:32 UTC 版)

岸田 稚魚(きしだ ちぎょ、1918年大正7年)1月19日 - 1988年昭和63年)11月24日 )は、俳人。本名は順三郎。

経歴

東京都北区生まれ。石田波郷に師事。父・録三郎は龍川の俳号で増田龍雨の門下。家は代々酒屋であった。

1936年、巣鴨商業学校卒業。1939年、のちに書家として活躍する兄・稚候に連れられ「馬酔木」(主宰:水原秋桜子)の新年句会に参加。翌年11月、「馬酔木」に投句を始める。1940年、結核の療養のため、茅ヶ崎南湖院に入院、「療養知識」の俳句欄(選者:石田波郷)に投句。1943年、波郷の主宰誌「」に参加[1]。1948年、「鶴」休刊、波郷の命により、「寒雷」(主宰:加藤楸邨)に移る。1953年、「鶴」復刊、翌年「鶴」に復帰。

1968年、草間時彦、加畑吉男などと超結社の勉強会「塔の会」を結成。1976年、同人誌「琅玕」(玕:王偏に干)を創刊。翌年、結社誌「琅玕」を創刊、主宰、外川飼虎、椎名書子などが参加。

作風は、「鶴」の特色である境涯性だけに留まらず、洗練された都会的なスマートさや豊かな韻律性を特色とするものである。

第29回新協美術展(1986年)で東京都知事賞を受賞するなど、写真の分野でも活躍した[2]

1988年、脳血栓で死去。「萩寺」とも呼ばれる、東京都江東区龍眼寺に眠る。戒名は、翔鶴院稚魚居士。「琅玕」は手塚美佐が継承[3]。門下に、岡本高明小島健吉野裕之などがいる。

受賞歴

著書

句集

  • 『雁渡し』 私家版[4]、1951年
  • 『負け犬』 近藤書店、1957年
  • 『筍流し』 角川書店、1971年
  • 『雪涅槃』 東京美術〈現代俳句俊英30人集〉、1979年
  • 『萩供養』 立風書房、1982年
  • 『花盗人』 立風書房、1986年
  • 『紅葉山』 立風書房、1989年

選集

  • 『岸田稚魚集』 俳人協会〈自註現代俳句シリーズ・Ⅰ期〉、1977年
  • 『花神コレクション〔俳句〕 岸田稚魚』 花神社、1994年
  • 『岸田稚魚集』 俳人協会〈自註現代俳句シリーズ 続篇3〉、1985年

評論・入門書など

脚注

  1. ^ 『花神コレクション〔俳句〕 岸田稚魚』(花神社、1994年)の「年譜」によれば、波郷に初めて会うのは2年後の1945年。東京・神田淡路町で開かれた句会の席である。このとき、「投げ出せし大足拝す夜寒かな」の一句をつくり、のちにこの一句について、「初対面の波郷先生は、病やつれはしていたが、しかしたのもしい師であった」(『岸田稚魚集』 俳人協会〈自註現代俳句シリーズ・Ⅰ期〉、1977年)と自註している。なお、石田波郷には句集『大足』(甲鳥書房、1941年)があり、「椎若葉わが大足をかなしむ日」(『風切』(一条書房、1943年)所収)の一句がある。
  2. ^ たとえば、以下のサイトで撮影した写真を見ることができる。「40周年記念出版俳人協会のあゆみ」『社団法人俳人協会・俳句文学館』。
  3. ^ 2013年2月終刊。
  4. ^ ガリ版刷りの私家版。現在は、『花神コレクション〔俳句〕 岸田稚魚』で全句を読むことができる。

参考文献

  • 『花神コレクション〔俳句〕 岸田稚魚』 花神社、1994年

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