屋台の構造・様式の特異性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 07:34 UTC 版)
「西条祭り」の記事における「屋台の構造・様式の特異性」の解説
近畿地方から淡路島をつたい 香川県を中心に瀬戸内海沿いを陸続きに伝播して広まった太鼓台が主役の文化は、現在ではちょうど新居浜市と西条市の境界でぷっつりと寸断されている。そこから以西では突如として西条型だんじりが祭礼様式の主役となっているが、これは西条における山車(だんじり)の様式が 太鼓台の伝播した陸上の経路ではなく 直接海をわたって伝えられたことの名残りでもあり、西条地方はこれゆえ四国の瀬戸内海沿岸におけるもうひとつの祭礼文化の起点にもなっている。 また同時に、この地に山車(だんじり)という様式が伝わったことにより最も注目するべき点は、屋台の運行様式の違いであろう。山車とは元来、車をつけて曳くのが全国で最も普及した様式であるが 西条型だんじりのそれは始めから担いで運行するいわゆる舁き山車の方式をとっている。 同じことは御輿屋台にも言うことができ、構造自体は太鼓台そのものであるにもかかわらず、太鼓台の担いで運行する様式がこの地方になると突如として大型の車輪にて曳く「曳き山」として独自の進化をとげている。主要な神楽所にだんじりがすべて出揃うと「みこし(御輿屋台)」と呼ばれるひときわ大型の太鼓台型の屋台が勢いよく走り込んでくる。この「みこし(御輿屋台)」と呼ばれる全国でも西条祭りだけに登場する独特の屋台には、人の背丈ほどもある木製の車が左右に付いており、これを30名程の舁き夫連中が2本の太い梃子(てぎ・かき棒とよぶ)に体ごととりつき、巧みに操作して振り廻しては屋台ひしめく境内を暴れるように走り回る。優雅で華麗なだんじりとは対照的に、御輿独特の激しい太鼓の囃子とあいまって非常に猛々しく豪快な迫力にあふれた屋台となっている。 このような限定された狭い一地方で、祭礼屋台の形態や様式が急激な変化をもたらした例は全国でも非常に特異であり稀であるが、これらの起源や歴史を記録した文献も現在では非常に少なく、それ故にこれは西条祭りの歴史的背景のなかで最も謎が深く興味深いものとなっている。
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