局所的な記述
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/11 06:55 UTC 版)
モデル例。 U, V が Rn の連結開部分集合であって V は単連結なとき、可微分写像 f : U → V が微分同相写像 (diffeomorphism) であるとは、それが固有写像であり微分 Dfx : Rn → Rn が各点 x ∈ U において全単射であるということである。 Remark 1. 関数 f が(その微分が各点で全単射という条件だけのもとでは)大域的に可逆であるためには V が単連結であることは本質的である。例えば、複素平方関数の「実化」 { f : R 2 ∖ { ( 0 , 0 ) } → R 2 ∖ { ( 0 , 0 ) } ( x , y ) ↦ ( x 2 − y 2 , 2 x y ) {\displaystyle {\begin{cases}f:\mathbf {R} ^{2}\setminus \{(0,0)\}\to \mathbf {R} ^{2}\setminus \{(0,0)\}\\(x,y)\mapsto (x^{2}-y^{2},2xy)\end{cases}}} det D f x = 4 ( x 2 + y 2 ) ≠ 0 {\displaystyle \det Df_{x}=4(x^{2}+y^{2})\neq 0} を満たすので Dfx は各点で全単射だが f は可逆でない、なぜなら単射でないからだ、例えば f(1,0) = (1,0) = f(−1,0)。Remark 2. (微分可能関数に対して)各点での微分 D f x : T x U → T f ( x ) V {\displaystyle Df_{x}:T_{x}U\to T_{f(x)}V} は線型写像であるから well defined な逆関数を持つことと Dfx が全単射であることは同値である。Dfx の行列表現は i-行目と j-列目の成分が ∂ f i / ∂ x j {\displaystyle \partial f_{i}/\partial x_{j}} であるような一階偏微分の n × n 行列である。しばしばこのいわゆるヤコビ行列を明示的な計算に対して使う。Remark 3. 微分同相写像は同じ次元の多様体間でなければならない。仮に f が n 次元から k 次元に行っていると想像しよう。n < k であれば Dfx は全射にはなり得ず n > k であれば Dfx は単射にはなり得ない。なのでどちらの場合にも Dfx は全単射にならない。 Remark 4. Dfx が x において全単射であれば f は局所微分同相写像 (local diffeomorphism) であるという(なぜならば連続性によって x に十分近いすべての y に対して Dfy もまた全単射になるからである)。 Remark 5. 次元 n から次元 k への滑らかな写像が与えられると、Df (resp. Dfx) が全射であれば、f は沈めこみ (submersion) (resp. 局所沈めこみ (local submersion)) と言い、Df (resp. Dfx) が単射であれば f ははめ込み (immersion) (resp. 局所はめ込み (local immersion)) と言う。 Remark 6. 可微分全単射は微分同相とは限らない、例えば f(x) = x3 は R から自身への微分同相ではない、なぜならば微分が 0 において消える(したがって逆関数が 0 において微分可能でない)からである。これは微分同相でない同相写像の例である。 Remark 7. (f が可微分多様体の間の写像であるとき)f が微分同相写像であることは f が同相写像であることよりも強い条件である。微分同相写像に対して f とその逆関数が可微分である必要がある。同相写像に対しては f とその逆関数が連続であることを要求するだけである。したがってすべての微分同相写像は同相写像であるが、逆は間違いである: すべての同相写像が微分同相写像であるわけではない。 さて f : M → N は座標チャートにおいて上の定義を満たすとき微分同相写像 (diffeomorphism) と呼ばれる。より正確には、協調的な座標チャートによって M の任意の被覆を選び、N についても同じことをする。φ と ψ をそれぞれ M と N 上のチャートとし、U を φ の像とし V を ψ の像とする。このとき条件は写像 ψfφ−1 : U → V が(意味を持つときにはいつでも)上の定義の意味で微分同相写像であるというものである。2つの与えられたアトラスのチャート φ, ψ のすべての対に対してそれを確認しなければならないが、一度確認されてしまえば、任意の他の協調的なチャートに対しても正しくなる。再び次元は一致しなければならないことがわかる。
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