寿文庫
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尾鷲市には、市民から募金を集め、それを資金に図書を購入して図書館に寄贈する「寿文庫運営委員会」がある。同委員会は1966年(昭和41年)に紀北信用金庫の理事長を務めた土井周平が、当時の尾鷲市で厄年の男女が厄祓いとして料亭や旅館で派手に散財したり寺社でお金をばらまいたりしていた風習に替えて図書館の蔵書を充実させるために使おうと呼びかけて設立したものである。ばらまかれた金銭を子供が拾い集め、大金を手にすることが健全育成にふさわしくないと見なされたことも背景にある。こうした経緯で始まったことから、主として厄年の人に募金の呼びかけがなされてきたが、尾鷲市の人口減に伴う厄年対象者の減少により集まる募金額も減少してきたため、2015年(平成27年)の文庫創設50周年を機に喜寿や米寿などの「祝い年」の高齢者にも寄付を呼びかけるようになった。 同委員会は尾鷲市立図書館に事務局を置き、毎年厄祓いの時期である1月5日から3月12日にかけて募金を求める。募金は図書館のほか、尾鷲神社と尾鷲市内の5寺で受け付ける。集まった募金は、通常の図書館予算では購入が難しい高額の図書やリクエスト図書の購入に充当される。寿文庫には2017年(平成29年)までに6,090人から計2262万円の寄付が集まり、12,000冊を図書館に寄贈した。寿文庫の資金で購入された図書には、厄年の「Y」を取った「Yマーク」を貼付し、「第N回寿文庫」と記された蔵書印を押して通常の購入図書と見分けがつくようにしている。 寿文庫運営委員会の委員は任期2年で17人おり、尾鷲市の地域団体代表者や図書館の利用者、厄年の人で構成される。委員の再任は妨げられていないため、長年にわたって委員を務める人もいる。厄年の委員は、同年齢の人に寄付を呼びかける役割を担う。
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