対数微分と四分平方を使った証明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/21 17:50 UTC 版)
「積の微分法則」の記事における「対数微分と四分平方を使った証明」の解説
f = uv に対して u と v がともに x の正値函数であるならば、 ln f = ln ( u ⋅ v ) = ln u + ln v {\displaystyle \ln f=\ln(u\cdot v)=\ln u+\ln v} ゆえ、両辺を微分して 1 f d f d x = 1 u d u d x + 1 v d v d x {\displaystyle {1 \over f}{df \over dx}={1 \over u}{du \over dx}+{1 \over v}{dv \over dx}} となるから、左辺には f, 右辺には uv を掛けると(もちろん f = uv なのだから) d f d x = v d u d x + u d v d x {\displaystyle {df \over dx}=v{du \over dx}+u{dv \over dx}} を得る。微分可能な u, v は連続でなければならないから、正値性に関する仮定は一般性を落とすものでないことに注意せよ。 この証明では積の法則より深い結果である連鎖律と自然対数の性質が使われており(とは言っても、対数の微分に関する情報は、c を定数として cx の任意の底に対する対数を x = 1 で微分してから c を一般化することによって知ることができるから、先の証明は証明の一形態として十分に意味を成しうる)、ある意味では分の悪い証明ということになる。一方、この証明では単純明快な代数的操作しかせずに済むので、定義から直接証明するよりも恐らく理解は容易であろう。 同様の、しかし(対数の微分ができなくても証明できるという意味で)確実にさらに容易な方法として、自乗差乗算(英語版)(四分の一平方乗算)を用いるものがある。これには、やはり連鎖律と、それから四分平方函数 q (即ち、q(x) := x2/4) の性質 f = q ( u + v ) − q ( u − v ) {\displaystyle f=q(u+v)-q(u-v)} が用いられる。この等式の両辺を微分すれば、 f ′ = q ′ ( u + v ) ( u ′ + v ′ ) − q ′ ( u − v ) ( u ′ − v ′ ) = ( 1 2 ( u + v ) ( u ′ + v ′ ) ) − ( 1 2 ( u − v ) ( u ′ − v ′ ) ) = 1 2 ( u u ′ + v u ′ + u v ′ + v v ′ ) − 1 2 ( u u ′ − v u ′ − u v ′ + v v ′ ) = u v ′ + u ′ v {\displaystyle {\begin{aligned}f'&=q'(u+v)(u'+v')-q'(u-v)(u'-v')\\&=\left({1 \over 2}(u+v)(u'+v')\right)-\left({1 \over 2}(u-v)(u'-v')\right)\\&={1 \over 2}(uu'+vu'+uv'+vv')-{1 \over 2}(uu'-vu'-uv'+vv')=uv'+u'v\end{aligned}}} を得る。この証明だと先ほどの証明のように函数の値が正か負かというのは問題にならないし、函数 q の性質も随分容易に示される。 これらの証明は函数の値が数値あるいはそれと同様の性質を持つ対象ならば意味を成す。特に行列などは、先ほどの対数の c を変化させる方法で c に代入することに意味を持たせることができるから、これを適用できる。
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