対外有償軍事援助
別名:有償援助調達、有償の対外軍事援助
英語:Foreign Military Sales、FMS
アメリカ国防総省が行っている、外国政府に装備品や役務などを有償で提供する制度。米国政府が窓口となり、政府間での協議によって成立する。援助の対象となる国は、米国の同盟国など、米国政府が適格と認める国に限られている。日本は日米相互防衛援助協定に基づいて対外有償軍事援助を利用している。
外国政府が対外有償軍事援助を利用するメリットとしては、必要な物資を比較的安く速く獲得できることがある。また、米国との軍事的な結びつきを強くすることができることも挙げられる。一方で、最新モデルの物資は援助の対象外だったり、完成品のみで技術提供が伴わなかったりするなどのデメリットがある場合もある。ステルス戦闘機の導入などにおいては、ライセンス生産の権利獲得に比べて、対外有償軍事援助の利用は条件的に不利だとされることが多い。
米国のオバマ政権は「輸出倍増」を掲げ、対外有償軍事援助を盛んに推進してきた。その結果、2012年度の対外有償軍事援助の総額は500億ドルを超え、過去最高額となった。
なお、対外有償軍事援助と異なり、企業から直接兵器を輸入することを「直接商業売却(DCS)」というが、直接商業売却も対外有償軍事援助と同様に、米国政府の認可が必要である。
関連サイト:
Foreign Military Sales - Defense Security Cooperation Agency(アメリカ国防総省)
対外有償軍事援助
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 07:19 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動対外有償軍事援助(たいがいゆうしょうぐんじえんじょ、英: Foreign Military Sales、FMS)は、アメリカ国防総省が行っている対外軍事援助プログラムである[1]。
アメリカの武器輸出管理法のもと、アメリカ製の兵器の取得や教育訓練等の役務を有償で提供を受けるものであり[2]、アメリカ合衆国における輸出窓口が兵器製造メーカー等ではなく、合衆国政府(アメリカ国防安全保障協力局)となっていることに特徴がある。
取引の大口化により価格が割安になり、合衆国政府が窓口になることにより教育・訓練の提供を受けることができる、最新鋭・機密性の高い装備品を輸入できるといった利点がある一方で、対価は前払いに限られ、納期が年単位で遅れることもあり、価格は当初は見積もりということもあり支払い時は高騰することもあるなど、その実施条件についてはアメリカ側に従う必要があるという欠点がある[3]。FMSによる援助国は2003年時点で約160ヶ国となっている[4]。
日本の防衛省・自衛隊では有償援助と呼ばれ[2]、主に防衛装備庁調達事業部輸入調達官(かつての装備施設本部輸入調達課・装備本部輸入課・契約本部輸入課・調達実施本部輸入課・調達実施本部輸入第2課)が有償援助調達の任にあたっている。
注釈
- ^ 渡部恒雄 『アメリカの防衛・安全保障協力――大国の戦略と変遷』笹川平和財団、2019年、3頁 。
- ^ a b “令和3年版防衛白書”. www.clearing.mod.go.jp. 4 FMS調達の合理化に向けた取組の推進. 防衛省. 2022年2月23日閲覧。
- ^ 「長期契約法と後年度負担 -防衛装備品の調達と防衛関係費をめぐる国会論議-」『立法と調査』第414巻、参議院常任委員会調査室・特別調査室、2019年7月1日、 57頁。
- ^ FMSの一層の改善,防衛省装備政策課,平成20年1月
外部リンク
関連項目
- 直接商業売却(Direct Commercial Sales:DCS) - 相手国が米政府を介さず米国の企業から直接兵器の購入を行なう事。ただし、売却にはアメリカ政府の輸出許可が必要である。
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