家庭内での実施
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/23 22:41 UTC 版)
治療を受けやすくするために家庭でのPCITが検討されている。自宅で治療を行うことを除いて、プロトコルは可能な限り忠実に守られたが、環境に応じていつくかの修正が必要となった。例えば、親のコーチングのために使用していたイヤホン(小型のワイヤレスイヤホン)は使用できなかった。代わりに、セラピストはコーチングのために同室で、通常、親の背後から個別にフィードバックをした。 セラピストはDPICS を実施することができたが、これらの観察はその場でコーディングされた。 Wareら (2012) による単一被験者研究におけるPICTの家庭での実施では、治療後に、養育者のネガティブな行動が減少し、ポジティブな行動や賞賛が増えるといった、有望な結果が得られた。 またPCIT は、子どもの結果も改善したことを示している。PCIT を完遂した人は、完遂しなかった人に比べ、治療後に児童虐待のリスクが有意に低くなり 子どもの行動問題が減少し、子どもは従うという点で改善していることが明らかになった。 自宅でのPCITには利点がある。例えば、研究室やクリニックという環境では正確に捉えることができない、自然な「実生活」の場面での行動を見ることがきるかもしれない。さらに、自宅でのPCIT は、セラピストが一般的に直面することが多い問題である治療への不参加を防止できる。 このアプローチには潜在的な欠点もある。例えば、家族によって家庭は大きく異なるため、研究室やクリニックの環境と異なり、セラピストがコントロールすることがはるかに困難となる。また、子どもは必要があれば「逃げる」自由がより与えられるため、子どもを部屋の中やセラピストの目の届く範囲に留めておくこともより困難となることがある。 これらの問題は、どの部屋で治療を行うかを予め決めておき、気が散る可能性を最小限に抑えることで回避できる。リソースの利用についても問題となることがある。特に、クリニックという環境では通常セラピストが管理している、年齢に適したおもちゃを使用することが治療で必要となる。自宅では、選択肢が限られているかもしれない。しかし、どんなもので遊ぶことが好ましいか予め親に話しておくことが役立つかも知れず、セラピストは必要なおもちゃを持っていく計画をすることができる。
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