実験による検証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 02:34 UTC 版)
「アハラノフ=ボーム効果」の記事における「実験による検証」の解説
アハラノフとボームの指摘以来、長らく検証実験が試みられたが確かな証拠が得られないまま、その存在に懐疑的な意見もあったが、1986年、外村彰により電子線ホログラフィーの手法を用いて、その存在が実証された。 それまで実験が困難だった原因は一つに、磁場や電場が完全に存在しない条件を満足することが困難だったことがある。それまでの実験では有限の長さのコイルが使用されたが、この場合コイルに端が存在し、そこからの磁場の漏れによる影響が無視できなかった。コイルをドーナツ状(リング状)にすれば、理想的には磁場は漏れ出さないが、電子線の波長の要請から、それは非常に微細(数マイクロメートルオーダー)にする必要があった。 外村の検証実験では、非常に微細なドーナツ状の磁石(ドーナツ内に磁場が存在)を超伝導体で取り囲み、超伝導転移温度以下にしておく。このため、マイスナー効果により当該磁石の磁場は、ドーナツ外部に漏れ出すことを完全に防ぐことができる。この状態で、電子線をそれぞれ、そのドーナツ状の部分の孔の中と、ドーナツ状磁石の外側とに通し、各々の位相の差を、前述の電子線ホログラフィーを使って干渉縞の形で観測した。観測の結果、2つの場合の間に π {\displaystyle \pi } (半波長)だけの位相差が存在し、磁場が完全にない状態で、電子線が電磁ポテンシャル(この場合は、ベクトルポテンシャル)の影響を受けていることが実証された。
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