実験によるシミュレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 08:54 UTC 版)
「温室効果」の記事における「実験によるシミュレーション」の解説
物理学的には、温室効果を実験によって証明することは可能である。 最も一般的な実験方法としては、電磁波を透過する透明な密閉容器を2つ用意し、片方に温室効果ガスを、もう1方に空気や温室効果ガス以外の気体などを封入し、熱源(光源)を用意して2つの容器に同じ量の電磁波を一定時間照射する方法が採られる。実験後に温室効果ガスの入った容器のほうが温まっていることから、温室効果は証明される。ただし、ガスボンベ等から気体を封入する際に減圧冷却が起こるのでこれを温めたりして、実験のはじめに2つの容器内の気体の温度を同じにしておかなければならない。 しかし、実験室における実験によって実際の地球の温室効果を再現することは困難である。それには次のような理由が挙げられる。 熱源を用いて気体を加熱する場合、熱伝導のわずかな条件の違いを調べることが難しく、比熱による温度上昇の違いも考えられる。 放射により温度上昇をもたらすには、温室効果気体が十分な光学的厚さを持つことが必要である。実験室のスケールでは、その条件を満たすことは困難である。 地球の温室効果の源となる放射は、実際の地球の表面温度や大気の温度に相当する放射である。ランプ等の熱源は温度がそれよりも高いため、放射される電磁波の波長が異なる。波長が同じ電磁波で実験を行わなければ、地球の温室効果を再現したことにはならない。 これらを十分に検討することなく、実験室における温室効果気体の加熱実験の結果から温室効果が示されると結論付けることは、適切ではないと考えられる。また、地球の温室効果への理解を促すために、一般に向けてあるいは個人で、温室効果気体の加熱実験を行うことがあるが、温室効果気体の加熱を擬似的に表現しているに過ぎない。安易な実験は、誤解を招く恐れがあるとの指摘もある。
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