定義と簡単な説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 05:45 UTC 版)
初等解析学において、不定元 x に関する高々一次の多項式 ax + b(a, b は実定数)に対し、x を実変数とみて得られる写像 f a , b : R → R ; x ↦ f a , b ( x ) = a x + b {\displaystyle f_{a,b}\colon \mathbb {R} \to \mathbb {R} ;\ x\mapsto f_{a,b}(x)=ax+b} を一次関数と呼ぶ(見かけ上一次なだけでなく実際に「一次」であることを要請する場合は「a ≠ 0」とする)。定数関数となる a = 0 を含める場合は、これを「退化」しているといい、そうでない場合を非退化という。 解析幾何学において、デカルト座標が与えられたxy-平面(英語版) R2 上に、一次関数 f(x) = ax + b のグラフ { ( x , y ) ∈ R 2 ∣ y = f ( x ) } {\displaystyle \{(x,y)\in \mathbb {R} ^{2}\mid y=f(x)\}} は直線を描くため、一次関数は「直線の式」(あるいは単に「直線」)としても知られ、言葉の濫用で(一次函数それ自身とそのグラフとをとくに区別することなく扱って)直線 y = ax + b などともいう。 一次式 ax + b を特徴付けるふたつの定数について、a が増減すると対応する直線の「傾き」が急になったり緩やかになったりするので、a はこの直線の傾きと呼ばれる。また b は対応する直線と y-軸との交点の座標であり y-切片 (y-intercept) あるいは単に切片と呼ばれる。 傾き a が正の場合はグラフは右上がりになり、負の場合は右下がりになる。いずれの場合も、a の絶対値が大きくなるほど傾きが「急」になる。 y-切片 b が増減すると対応する直線は座標平面を上下に平行移動する。 x-切片(直線と x-軸の交点)は ax + b の零点 x = −b/a であたえられる。 一次関数 f が非退化 (a ≠ 0) ならば、非有界、非周期的、かつ単調増大 (a > 0) または単調減少 (a < 0) である。さらに単射かつ全射、従って一対一対応ゆえに可逆(であって、逆関数もまた非退化な一次関数)である。これと対照に、定数関数に退化している (a = 0) ならば、有界、周期的、かつ偶関数であり、非増大かつ非減少の意味では単調であるが、単射でも全射でもなく(したがって一対一対応にならず)逆函数を持たない。退化・非退化の場合によらず b = 0 のとき一次関数は奇関数であり、偶かつ奇となるのは定数関数 x ↦ 0 に限る。
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