定義その2
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/20 10:51 UTC 版)
しかし、現実的には、野外でその菌がどのようにして栄養を吸収しているかを判断するのは困難である。いかにも生きた生物の上で生活しているように見えても、実際にその生物と栄養の関係はないかも知れないし、老廃物の上に出現する菌類であっても、実際には微細な生物に寄生するものであるかも知れない。というより、そもそも野外で発見することのできない菌類も山ほどある。分離培養を行って出てきたものについて判断する場合も多々ある。 そこで、もう一つの定義がこれである。培地上で純粋培養できるのが腐生菌。できないのが寄生菌である。通常の培地には一般的な菌類が要求するような栄養素は含まれているが、生きた細胞内からしか手に入らないようなややこしい成分は含まれていない。したがって、ここで培養できるものは自然界でも生きた生物なしで生活できる可能性が高い。逆に、生きた細胞との接触が必要なものは、この様な培地ではまず人工培養できないから、これを寄生菌と認める。また、寄生生活を行うことが確認されたものであっても、純粋培養できた場合は腐生菌に扱える。ただし、その場合、寄生生活するのは確かだから、この菌は条件的寄生菌であると見なすわけである。 この見方に立てば、マツタケやアツギケカビなどの菌根を形成するものなど、植物と共生していると言われるものも、純粋培養ができないものは栄養の観点からは寄生菌と言える。ラブールベニア類やトリコミセス類など、栄養的には状況がわからないものも、純粋培養できないものは寄生菌扱いになる。線虫捕食菌の場合、接合菌のそれは培養できないので寄生菌、不完全菌系のものは培養可能なので腐生菌である。 ただし、この区分で問題になるのは、明らかに寄生菌であっても、培養法が確立すれば腐生菌に“格下げ”される場合があることである。たとえばエダカビはケカビ類に寄生して生活し、寒天培地上に胞子を接種しても、わずかに発芽管を伸ばすが、宿主菌糸に触れなければ、場合によってはわずかに胞子を形成するが、そのまま死滅する。しかし、牛の血清などを含んだ特殊な培地が工夫されたことによって、純粋培養ができることが判明している。
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