定常状態法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 08:57 UTC 版)
1922年イギリスのフレデリック・リンデマン(英語版)やデンマークのJ・A・クリスチャンセン (J. A. Christiansen) は、次のように衝突モデルを拡張することで1次反応を説明付けた。つまり、非弾性衝突自体は対称な過程であり内部エネルギーが増大した分子が再衝突により内部エネルギーを運動エネルギーとして奪い去られることは可能である。内部エネルギーが増大した励起分子A* と定常状態の分子Aとが変換する速度に対して、励起分子A* が目的の1次反応を引き起こす速度が十分に遅いならばA* とAとの間に平衡が存在していると仮定することができる。 A + A ⇌ k − 1 k 1 A ∗ + A {\displaystyle {\ce {{A}+{A}<=>[k_{1}][k_{-1}]{A^{\ast }}+{A}}}} A ∗ → k 2 X {\displaystyle {\ce {{A^{\ast }}->[k_{2}]{X}}}} 化学平衡式の定義より k 1 [ A ] 2 = k − 1 [ A ∗ ] [ A ] {\displaystyle k_{1}[{\rm {A}}]^{2}=k_{-1}[{\rm {A}}^{*}][{\rm {A}}]} であるから、 [ A ∗ ] = k 1 k − 1 [ A ] {\displaystyle [{\rm {A}}^{*}]={\frac {k_{1}}{k_{-1}}}[{\rm {A}}]} 生成したA* が一定速度でXへと反応するならば、反応速度v は励起分子のモル濃度[A*]で表されるので、 v = d [ X ] d t = k 2 [ A ∗ ] = k 2 k 1 k − 1 [ A ] {\displaystyle v={\frac {\mathrm {d} [{\rm {X}}]}{\mathrm {d} t}}=k_{2}[{\rm {A}}^{*}]={\frac {k_{2}k_{1}}{k_{-1}}}[{\rm {A}}]} となり、1次反応の速度式が導出される。 このようにクリスチャンセンが開発した、励起分子や反応中間体の生成に平衡が存在して、反応中間体等の濃度は時間変化しないと仮定して反応速度式を近似する手法は定常状態法(ていじょうじょうたいほう、method of steady state)と呼ばれる。
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