子供の絵とは? わかりやすく解説

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子供の絵

作者富岡多恵子

収載図書当世凡人
出版社講談社
刊行年月1993.6
シリーズ名講談社文芸文庫

収載図書富岡多恵子集 3 小説
出版社筑摩書房
刊行年月1999.1


子供のデッサン

(子供の絵 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/06 08:36 UTC 版)

子供のデッサン(こどものデッサン、: dessin d'enfant)とは、リーマン面の研究に使われるグラフ埋め込み英語版の一種であり、有理数体の絶対ガロア群の作用について組合せ的な不変量を生み出す、数学概念のひとつである。子供の絵(こどものえ)と訳されることもあり[1]、単にデッサンと呼ばれることもある。

子供のデッサンは、向きづけられた曲面埋め込まれた英語版グラフであって、頂点が交互に黒と白で彩色されており、かつグラフの面が円板と同相(topological disk)になるものである。埋め込み先の曲面は、単に平面であることが多い。この彩色が存在するためには、グラフは2部グラフでなければならない。曲面と埋め込みは回転系英語版[訳語疑問点](rotation system)を用いて組合せ的に記述することもできる。回転系とは、グラフの頂点それぞれに対して定義された周囲の辺の巡回型順序英語版[訳語疑問点](cyclic order)であり、曲面上で頂点を小さく時計回りにまわるときに辺を横切る順番に対応するものである。

任意のデッサンは埋め込まれた曲面にリーマン面としての構造を付与する。どのようなリーマン面がこのようにして生じるか、という自然な疑問の答えはベールイの定理によって与えられる。すなわち、子供のデッサンから生じるリーマン面とは、代数体上の代数曲線に他ならない。絶対ガロア群はこのような曲線の全体に作用するので、この対応を通じて子供のデッサン全体にも作用する。

このテーマについての詳細は、Schneps (1994)Lando & Zvonkin (2004) に記載されている。

英語での表記

英語では、フランス語のまま dessin d'enfant と使われることも多いが、child's drawings と英訳して使うこともある。英語での複数形は、dessins d'enfant, child's drawings, dessins d'enfants, children's drawings など、複数ある。

歴史

19世紀

原始的な子供のデッサンと思えるものは、1856年のウィリアム・ローワン・ハミルトン二十面体算英語版[訳語疑問点]に見ることができる[2]。現代の言葉で言えば、これは20面体グラフ上のハミルトン路である。

現代から見ても、はっきり子供のデッサンとベールイ関数と思えるものが、Felix Klein (1879) で使われている。クラインはこの図式を Linienzügeドイツ語Linienzug の複数形で、線の跡[訳語疑問点]多角形を意味する)と呼んだ。現代の記法では、0の逆像を黒点、1の逆像を白点で表す[3]ところ、彼は0の逆像を白い丸で表し、1の逆像を '+' で表していた。彼はこれらの図式を、リーマン球面からそれ自身へのモノドロミー群 PSL(2,11) を持つ11重被覆を作るために使った(Klein 1878–1879a, 1878–1879b)。これは、彼の以前のクライン4次曲線英語版に関する研究、モノドロミー PSL(2,7) を持つ7重被覆の作成に続くものだった。これらの研究は5次方程式の幾何学と群 A5 ≅ PSL(2,5) の研究に関連したもので、有名な著書『正20面体と5次方程式[訳語疑問点]』(1884/88)にまとめられている。はるか後になって、これら3つの群からこの方法で作られた3つの曲面は、三位一体英語版[訳語疑問点]の現象を通じて密接に関係することが示されている。

20世紀

現代的な形での子供のデッサンは、1世紀後の1984年にアレクサンドル・グロタンディークによって『計画の概要英語版[訳語疑問点]』の中で再発見され、ここで子供のデッサンと名付けられた[4]。グロタンディークは、子供のデッサンの全体にガロア群が作用することを発見したときのことを、次のように振り返っている(Zapponi (2003)から引用、引用文では子供の絵という呼び方を使った)。

技術的には極めて単純なこの発見は、私に非常に強い印象を与え、省察の旅の決定的な転換点となった。私の数学に対する関心はここに集中し、ここが中心となった。数学的な事実で、この時ほど強い衝撃と心理的な影響を私に与えたものは、他には無かったと思う。なにしろ、どこにでもあるような、何の難しさもない子供の絵なのだ。紙片に殴り書きされた子供の絵が、鉛筆を持ち上げることなく描かれてさえいれば、完全な具体例となるのだ。一本線を描き加えればすぐに滅茶苦茶になってしまうような子供の絵の中に、精妙な数論的不変量があったのだ。

この理論の一部は、グロタンディークよりも少し早く、そして独立に、Jones & Singerman (1978) によってすでに研究が深められていた。彼らは、位相幾何学的な曲面上の地図英語版と、リーマン面上の地図と、ある特定の生成元を持つ群の間の対応の概略を得ていた。しかしガロア群の作用は考えていなかった。彼らの地図の概念は子供のデッサンの特別な例にあたる。この研究は、後に Bryant & Singerman (1985) によって境界を持つ曲面に一般化されている。

リーマン面とベールイ対

複素数全体に ∞ と書かれる特別な点を付け加えたものは、リーマン球面と呼ばれる位相空間になる。任意の多項式、あるいはより一般に任意の有理関数 p(x)/q(x)pq は多項式)は、リーマン球面からそれ自身への写像を定義する。例として、次の有理関数

有理関数 f = −(x − 1)3(x − 9)/64x から生じる子供のデッサン。縮尺は無視している。
子供のデッサンに無限遠点を描き入れ、リーマン面を作るための半平面の貼り合わせパターンにしたもの。

リーマン球面上の0の逆像(1と9)に黒点を置き、1の逆像(3 ± 23)に白点を置き、線分 [0, 1] の逆像に対応する弧を描くことで、f から子供のデッサンが得られる。この線分の逆像は4つの辺からなる。4つの辺のうち2つは1と9を結ぶ線になり、残りの2つは1から始まって0を回り1に戻ってくる単純閉曲線になる。できあがったデッサンを図に示している。

逆に、臨界点の位置情報の無い組合せ的な対象として記述されたデッサンから、コンパクト・リーマン面と、それからリーマン球面への写像を作ることができる。デッサンが今の手順で有理関数から描かれたものなら、得られるリーマン球面への写像はその有理関数と同値である。これを見るために、まずデッサンの各領域の内部に ∞ というラベルをつけた点を配置する(2番目の図に赤点で示したもの)。次に、付け加えた点と、その点が含まれる領域の境界上の黒点と白点を線で結ぶ。もし黒点や白点が境界上に重複して現れるなら、重複している分だけ結ぶ。すると、各領域は3角形分割英語版されており、各3角形の3つの頂点には、0 (黒点に対応)、 1 (白点に対応)、∞ とラベルが貼られている。これらの3角形を半平面英語版に置き換える。3角形の頂点に 0、1、∞ が反時計回りに現れるなら上半平面に置き換え、時計回りに現れるなら下半平面に置き換える。そして、隣接する3角形に対して、頂点のラベルに合わせて対応する半平面の境界の一部を貼り合わせると、リーマン面ができあがる。このリーマン面からリーマン球面への写像を、材料となった各半平面の上で恒等写像と定義することで作る。こうして f から作られたデッサンは、双正則写像による違いを除いて、f 自身を記述するのに十分な情報を持っている。この構成で複素多様体としてのリーマン面は得られたが、複素射影平面英語版に埋め込まれた代数曲線としては得られていない(そのような埋め込みは常に存在するが)。

一般のリーマン面 X とその上の任意のベールイ関数 fX からリーマン球面への正則関数 f であって 0、1、∞ のみを臨界値とする関数)に対しても同じ構成方法が適用できる。このような対 (Xf) はベールイ対(Belyi pair)と呼ばれている。任意のベールイ対 (Xf) から、0の逆像 f−1(0) を黒点、1の逆像 f−1(1) を白点、線分 [0, 1] の逆像 f−1([0, 1]) を辺として、曲面 X に描かれたデッサンを作れる。逆に、任意の曲面 X 上の任意のデッサンを先ほどのように半平面の貼り合わせ手順書として使い、X と同相なリーマン面を作ることができる。そして、半平面上で恒等写像とすることでリーマン球面への写像を作れる。この写像は X 上のベールイ関数 f となるので、ベールイ対 (Xf) が得られる。任意の2つのベールイ対 (Xf) から得られるデッサンが組合せ同値ならば、これらは双正則である。コンパクト・リーマン面 X代数体上定義されたものであれば、ベールイの定理からベールイ関数 f が存在し、デッサンが作れる。このデッサンは、X と f の両方の組合せ的な記述になる。

地図と超地図

デッサンに含まれる頂点には、グラフ理論の意味での次数(接続している辺の数のこと)が定義できる。これはベールイ関数の臨界点としての次数に等しい。前述の例だと、全ての白点の次数は2である。デッサンは、全ての白点が2つの辺を持つとき[訳語疑問点](clean)と呼ばれ、それに対応するベールイ関数は[訳語疑問点](pure)と呼ばれる。整デッサンは、白点を除去して、代わりにその白点の端点となっている黒点を辺で結ぶことにより、より単純な埋め込みグラフとして描くことができる。先ほどのデッサンの場合だと、黒点2つを頂点とし、それを結ぶ1つの辺と、1つの黒点の自己閉路をもう1つの辺とするグラフになる。整デッサンの場合には黒点のみ描き白点はグラフから除くのが普通である。白点を除いたグラフから、辺の中央に白点を描くことで、元のデッサンを完全に復元できる。

このようにして、曲面に埋め込まれた任意のグラフで面が円板と同相なもの(位相幾何学的な地図)は、グラフの頂点を黒点とし、全ての辺の中央に白点を置くことで、デッサンになる。地図にベールイ関数 f が対応しているなら、その双対地図(線分 [1, ∞] の逆像で作られるデッサン)に対応するベールイ関数は逆数 1/f である[6]

整ではないデッサンは、全ての点を黒く塗り直し辺の中央に白点を追加することにより同じ曲面上の整デッサンに変換できる。この変換に対応するベールイ対の変換は、ベールイ関数 β を 純ベールイ関数 γ = 4β(1 − β) に置き換える変換である。γ の臨界点は次の公式で直接計算できる:

γ−1(0) = β−1(0) ∪ β−1(1)
γ−1(∞) = β−1(∞)
γ−1(1) = β−1(1/2)

こうして、γ−1(1) はβ による線分 [0,1] の中点の逆像になり、γ から作られるデッサンの辺はβ から作られるデッサンの辺の細分(subdivide)英語版になる。

整デッサンが地図に対応するとするならば、一般のデッサンに対応するものは超地図[訳語疑問点](hypermap)である。ハイパーグラフの頂点が黒点に対応し、ハイパーエッジ(hyperedge)が白点に対応する。

正則地図と三角群

正十二面体の整デッサンから作られた、(2,3,5) 3角群を持つ球面の3角形分割
クライン4次曲線英語版の普遍被覆として生成された、(2,3,7) 3角群を持つ双曲平面の3角形分割

5つの正多面体正四面体正六面体正八面体正十二面体正二十面体)を2次元の曲面として見ると、曲面の対称性で任意の旗(接合している頂点・辺・面の3つ組のこと)を他の旗に持っていくことができるという性質を持っている。一般に、曲面に埋め込まれた地図であって同様の性質を持つもの、すなわち任意の旗が他の任意の旗に対称性により変換できるものは、正則地図英語版(regular map)と呼ばれる。

正則地図から整デッサンが作られ、そのデッサンから3角形分割されたリーマン面が作られたとき、3角形の辺は曲面の対称性の直線上に乗り、その直線に沿っての鏡映(reflection)は3角群英語版と呼ばれる対称性の群を生成し、3角形はその基本領域になっている。例えば、正十二面体に対してこれを適用すると、図のような3角形の集合ができあがる。正則地図が乗っている曲面の種数が1より大きいとき、その曲面の普遍被覆双曲平面となり、双曲平面に持ち上げられた3角形分割に対応する3角群は、双曲平面の等長写像の離散集合からなる(余コンパクト)フックス群英語版になる。このとき、元の曲面は、この群の有限指数部分群 Γ で双曲平面の商を取ったものになっている。

逆に、(2,3,n) タイル貼り(角度が π/2, π/3, π/n の3角形による、球面、ユークリッド平面、もしくは双曲平面のタイル貼り)による商となっている任意のリーマン面に対して、その随伴するデッサンはこの群の位数2と位数3の生成元によって与えられるケイリーグラフである[要出典]。このタイル貼りを与えることと、同じ曲面の頂点ごとに3点で交わる n 角形タイル貼りを与えることは同値である。このタイル貼りの頂点がデッサンの黒点を与え、辺の中心が白点を与え、面の中心が無限上の点を与える。

木とシャバット多項式

6次の単項式 p(x) = x6 に対応する子供のデッサン
チェビシェフ多項式と対応する子供のデッサン。黒と白が交互に現れる道グラフ英語版になっている。

最も簡単な2部グラフはである。曲面に埋め込まれた木の面の数は1なので、これがデッサンならば、オイラーの公式からこの曲面は球面でなければならない。対応するベールイ対は、リーマン球面からリーマン球面への写像であり、その写像の極を ∞ で持つようにすることにより、この写像を多項式とできる。逆に、0と1を有限な臨界値として持つ任意の多項式は、臨界値 ∞ に対応する臨界点が1点(∞)のみのリーマン球面からそれ自身へのベールイ関数となり、対応する子供のデッサンは木である。多項式の次数は対応する木の辺の数に等しい。このような多項式ベールイ関数は、ジョージ・シャバットにちなんでシャバット多項式(Shabat polynomial)と呼ばれる[7]

例として、p単項式 p(x) = xd とする。0がこれの唯一の有限な臨界点であり、その臨界値は0である。1は p の臨界値ではないが、全ての臨界値は {0,1,∞} に含まれているので、p はリーマン球面からそれ自身へのベールイ関数となっている。対応する子供のデッサンは、中心に1つの黒い頂点があり、d 個の白い葉とつながっている星の形完全2部グラフ K1,d)をしている。

より一般に、多項式 p(x) が2つの臨界値、y1y2 を持つだけならば、これもシャバット多項式と呼んでよい。このような多項式は、変換

2つの共役な子供のデッサン

次の多項式



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