委員長候補
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 01:48 UTC 版)
プローディ委員会の任期は2004年10月末で満了することになっていたため、同年の欧州議会議員選挙の実施後に委員長候補の検討が開始された。アイルランド、フランス、ドイツは「信念を持ったヨーロッパ人であり、戦士でもある」と考えていたベルギーの首相ヒー・フェルホフスタット(欧州自由民主改革党所属)を強く支持していた。ところがこの連邦主義的な傾向が強いフェルホフスタットはイラク戦争に強く反対し、また欧州憲法条約で神に言及することにも拒否していたことから、スペイン、イギリス、イタリア、ポーランドがフェルホフスタットの委員長任命に反対した。フェルホフスタット以外にもアイルランドの首相であるバーティ・アハーン(諸国民のヨーロッパ連合)も候補に挙がったが、アハーンは委員長就任を望まなかった。 先の欧州議会議員選挙で欧州人民党が勝利したため、同党に参加する各国の政党は自党に所属する人物を委員長にしたいと考えており、ルクセンブルクの首相ジャン=クロード・ユンケルやオーストリアの連邦首相ヴォルフガング・シュッセルの名前が挙がったが、ユンケルは固辞し、シュッセルについては極右政党のオーストリア自由党と連立を組んでいたことが一部の加盟国政府からの信頼が受けられなかった。 また農業担当のフランツ・フィッシャー(オーストリア出身、欧州人民党所属)、司法・内務協力担当のアントーニオ・ヴィトリーノ(ポルトガル出身、欧州社会党所属)、対外関係担当のクリストファー・パッテン(イギリス出身、欧州民主主義グループ所属)、地域政策担当のミシェル・バルニエ(フランス出身、欧州人民党所属)ら現職の欧州委員会の委員らの名前も挙げられた。 このほかにも共通外交・安全保障政策上級代表のハビエル・ソラナ(スペイン出身、欧州社会党所属)、欧州議会議長パット・コックス(アイルランド出身、欧州自由民主改革党所属)も候補に挙がったが、あまり本命とみなされなかった。このような状況で、イラク戦争に賛成していたにもかかわらずバローゾが最有力候補として挙がり、ほかの候補が反対されるのに対して最小公分母としてみなされるようになった。バローゾは欧州人民党・欧州民主主義グループの支持を受け、欧州議会において2004年7月22日に賛成413、反対215(棄権44)でバローゾの新委員長任命が承認された。
※この「委員長候補」の解説は、「バローゾ委員会」の解説の一部です。
「委員長候補」を含む「バローゾ委員会」の記事については、「バローゾ委員会」の概要を参照ください。
- 委員長候補のページへのリンク