大陸島と海洋島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 07:33 UTC 版)
「島#島の成因」も参照 島の基盤に基づいて、島を大陸島と海洋島に分けられる。大陸のある地殻と、海洋の地殻では、島は構造的に異なっている。 大陸のある地殻では、大陸を構成する花崗岩質の部分が、海洋底を構成する玄武岩質の地殻に浮いており、その周辺の部分が大陸棚を構成する。大陸棚にある島を大陸島という。大陸島は、大陸の一部か、その近くの火山島などとして生まれ、周囲の海はせいぜい数百mと、さほど深くない。このような島は、歴史上の地殻変動や海水面の上下の中で、大陸や周辺の島と陸続きになった歴史をもつ場合が多い。陸続きになった歴史があれば、生物は陸地伝いに移動できる。そのため大陸島では、淡水魚・陸産貝・両生類など、海水に耐えられない生物が生息し、各分類群の生物が満遍なく存在する。日本列島や琉球列島やグレートブリテン島などはこれにあたる。 海洋の地殻では、玄武岩質の地殻が海洋底にあり、部分的に火山活動で生じた高い山が、島として海上に顔を出している。このような島を海洋島という。海洋島では、ごく近い島をのぞいては、その間の海は数千mの深海であり、歴史上、他の島と陸続きになった歴史をもたない。このような島では、海を渡ることができる生物、海鳥や海岸性植物以外は、原則としてたどり着く事はなく、偶発的に生きたまま漂着した生物が島の生物相を支える材料となる。したがって、海水に弱いもの(両生類やコウモリ以外の哺乳類など海を渡れない生物)は海洋島に存在する可能性が低い。このように、生物の定着が偶発的な出来事であるため、海洋島では生物相に偏りが生じる。小笠原諸島、大東諸島の生物相がこれに該当する。世界的には、ガラパゴス諸島もこれであり、ハワイ諸島も、元来はアリが生息していなかったほど、特殊な生物相を持っていた。また、海鳥にとっては、このような島は、敵がやって来ない場である事から、集団繁殖の場として選ばれることがある。
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