大汗腺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 08:33 UTC 版)
哺乳類の全身に分布する汗腺は、基本的にはアポクリン腺様式で、脂質やタンパク質などを多く含む乳白色の分泌物を皮膚上に分泌する。この分泌物は皮膚の常在細菌の作用で分解して臭いを発することにより、社会的、あるいは性的な個体間関係を取り結ぶ、フェロモンとして機能している。しかし、ヒトでは例外的に全身にエクリン腺様式の汗腺が発達して体温調節の機能を担っており、アポクリン腺様式の汗腺は皮膚の限られた場所に集中して分布する。そのため、ヒトのアポクリン腺様式の汗腺をエクリン腺様式の全身の汗腺(小汗腺)から区別して、特に大汗腺(だいかんせん、英: large sudoriferous gland)と呼ぶ。汗の成分は発汗の原因によって変わってくるが、苦痛などのストレスを受けて出るいわゆる脂汗はこの汗が多く含まれており、脂汗の言葉が示すように、粘度も高くなっている。[要出典] 大汗腺の発生は表皮性毛嚢に由来しており、毛穴に開口することが多い。分布する位置により、腋の下にある腋窩腺、外耳道にある耳道腺、乳首の周辺の乳輪腺、肛門近辺の肛門周囲腺、瞼にある睫毛腺、鼻にある鼻翼汗腺などに分けられる。 日本社会に代表されるモンゴロイド人種が多数派となる社会のように、腋窩腺分泌物に由来する臭いが弱い個体が大多数を占める人間集団では臭いの強い個体が社会的に忌避され、強いストレス下におかれることがある。そうした臭いの強い個体の形質を腋臭症(わきが)と呼び、疾患として扱われている。
※この「大汗腺」の解説は、「アポクリン腺」の解説の一部です。
「大汗腺」を含む「アポクリン腺」の記事については、「アポクリン腺」の概要を参照ください。
- 大汗腺のページへのリンク