多種球充填
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 01:32 UTC 版)
球充填と関連する化学や物理の問題には、球サイズが一つと見なせないものが多い。異なる種類の球で稠密充填を作るには、サイズごとに別の領域に分かれてそれぞれ最密充填を作るか、あるいは異なる種類の球が混合して侵入型化合物のような配置を取るかの選択肢がある。球のサイズの種類が増えると(あるいは連続分布すると)問題は急速に扱いづらくなるが、二通りのサイズの剛球に関する研究はいくつか存在する。 二種類の球のサイズに開きがある場合には、大球が最密充填配置を取った上で、小球が格子間の空隙(八面体型もしくは四面体型)に収まることができる。このような侵入型充填の密度は半径比に強く依存するが、半径比が小さい極限では大球の充填密度を下げずに小球が空隙に侵入することができる。大球が最密配置ではない場合も含め、半径比0.29099以下の小球ならばいかなる配置にも侵入可能である。 小球の半径が大球の0.41421倍を超えると、最密構造の八面体格子間位置にさえ収まることができなくなる。このときホスト格子は膨張して空隙を広げるか(全体の密度は低下する)、より複雑な結晶化合物構造へと再配置するかの選択を迫られる。半径比0.659786以下では最密構造よりも充填率の高い配置が知られている。 また、二種球充填において可能な充填密度の上界も得られている。 化学の分野では、イオン結晶をはじめとして、成分イオンの電荷のため化学量論を保たなければならない状況が多く、これが充填問題に対する拘束条件となる。さらに、電荷間の静電相互作用のエネルギーを最小化する必要もある。これらの影響で最適な充填は多種多様なものになる。
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