多列接点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 08:11 UTC 版)
鍵盤の各キーにはドローバー9本それぞれに対応するスイッチが上下方向、櫛状に並んでおり、キーをゆっくり押し込んでいくと高次倍音から順に発音される(多列接点)。また、これらのスイッチが接触するときの電気的スパークはキークリックと呼ばれる。ハモンドの開発陣はこの音を余計なものとして、6kHz以上の周波数を取り除くフィルターを設置する等して取り除く努力をしたが、後年この音はアタックを強調し打楽器的な演奏をより魅力的なものにするためオルガン奏者から愛され、ハモンドサウンドの特徴の一つとされている。多列接点は1970年代までの電子オルガンではハモンドに限らず採用しているものは多かったが、これは単に当時の技術の限界による設計で、機構の複雑化や重量の増加を招いていたため、1970年代末から1980年代初期を以て淘汰されていった。しかし、単接点鍵盤を持つクローンホイールオルガンは、デジタル・アナログ問わずキークリックを発音するように設計され、多くはクリックの音量も調整できる。ただし単接点では鍵盤の微妙な押し込み具合によるキークリックのばらつき(ゴーストノートを多用する場合、ノリを生み出す要素となる)や多くのドローバーを引き出したレジストレーションを用いて演奏するスローテンポの楽曲におけるハープのような効果を演出することができず、これらを利用するスタイルを持つオルガン奏者にとっては不満が残った。そこで、2003年にハモンド鈴木から発売された「New B-3」では、多列接点もハモンドオルガンの魅力であるとして、デジタル式クローンホイールオルガンで初めて機械式多列接点が採用された(本来は足鍵盤も4列接点だが、これは単接点になっている。アナログ式クローンホイールオルガンについては、フィンランドのウルム社製「HIT Organ」や日本のエース電子工業製の「GT-7」など、多列接点が廃れる以前に設計されたものがある)。
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