変遷に対する見解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 16:43 UTC 版)
法解釈学的意味での憲法の変遷によって、従来の憲法規範の当該条項にかわって新たな憲法規範が定立・運用されていると認められる場合、それが肯定されうるものか否定されるべきものであるか見解は分かれている。 肯定説 憲法が国民の信頼を失って守られなくなった場合、法規範としてそれはもはや法とはいえなくなるため、一定の条件を設けた上で、それが満たされた場合には憲法の変遷は認められる。習律説 憲法の変遷は「習律」という考え方で説明すべきとする見解。代表的論者は芦部信喜。 慣習法説 憲法の変遷が認められるためには、単なる慣習では足りず慣習法によって裏付けられることが必要であるとする見解。民主主義国家においては、国民世論によって受け入れられていることを重視する。代表的論者は橋本公亘。 否定説 憲法は、その変更のために憲法改正の手続きを規定している。憲法改正の手続きによらない憲法規範の変更は、憲法の否定であり破壊である。その手続きを踏まない変更は違憲であり、変更を認めるべきではない。特に民主主義国家において、憲法改正のために議会の議決や国民投票等が必要とされている場合は、国民の判断を経ない変更は許されるべきではない。代表的論者は杉原泰雄。
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