増減させる薬剤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 14:04 UTC 版)
CSF1R阻害剤 コロニー刺激因子1受容体(英語版)(CSF1R)阻害剤であるPLX3397(英語版)は、成体マウスの脳内ミクログリアを99%枯渇させる。そのマウスは行動や認知異常を示さなかった。阻害剤の投与中止から1週間以内に新しいミクログリアが完全に再増殖した。中枢神経系(CNS)のミクログリア再増殖は、ネスチン陽性細胞(神経幹細胞)の増殖を介し、ミクログリアに分化する。 成体マウスへPLX3397を投与し長期間ミクログリアを枯渇させたところ、樹状突起スパインの密度が増加した。脳発達後もミクログリアがシナプス形成する証拠が示された。 テトラサイクリン系 成体マウスへ4週間ドキシサイクリン40ppm混餌投与した結果、ミクログリアの数が有意に激減し、樹状突起スパインの密度が有意に増加した。 胎児期18日目から出生後1日目までマウスへミノサイクリン(45mg/kg, ip)を投与し、最終投与から8時間後に検査したところ、検査した脳組織の全領域で細胞死(アポトーシス)が10倍以上に増加していた。殆どの領域でミクログリアマーカー(IBA1(英語版))が増加していた。生後3-5日齢への投与においても類似の作用がみられた。 テトラヒドロカンナビノール 青年期の雌性ラットへΔ9-THC(2.5 - 10mg/kg)やMDMA(10mg/kg, sc)の慢性投与はミクログリアマーカー(IBA1)の割合を減少させた。雄性ラットにおいては増加させた。思春期に大麻を長期乱用すると脳の成熟が損なわれ神経発達障害の傾向になりやすいと示されているが、この関連の基礎をなす神経生物学的なメカニズムの大部分は不明であった。思春期の雌性ラットへΔ9-THC(2.5 - 10mg/kg)慢性投与で誘導される長期間の認知障害とミクログリア活性化の因果関係を示す証拠が提示された。ミクログリアの活性化を阻止することで青年期の短期記憶障害を有意に減弱させ、ミクログリア上のカンナビノイド2受容体(CB2R)の増加を防止できた。多くの神経変性疾患はCB2Rの増加が見出されている。大麻乱用(英語版)と関連する有害作用にミクログリアおよびアストロサイトの変化が寄与し得ることを示唆する最近の前臨床的な証拠がある。
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