堆肥
健康のことを考えて、あるいは環境保全の意味からも注目を集める有機栽培。化学肥料をできるだけ使わずに、有機質肥料を用いる方法。 日本に古くから伝わる農法です。有機質肥料、つまり堆肥づくりに牛の糞尿が利用されているというわけです。 堆肥には、家畜の糞尿を使わずに、ワラ、落葉、野草などだけで作るものもあります。これと区別するために、家畜の糞尿と敷ワラを腐熟させたものを堆厩肥(たいきゅうひ)と呼ぶことがあります。 さて、牛の糞尿を牛舎の地下貯蔵庫に落下、発酵させると、泥のような状態になります。こうしてできた肥料は液状厩肥(スラリー)と呼ばれています。 では、堆肥はどんなプロセスを経て作られるのでしょう。まず、牛床のおがくずや敷ワラなどが混ざった糞尿は、ベルトコンベアで堆肥舎へ運ばれたり、近くの草地の隅に積んで天日乾燥させます。 そこでもみがらを混ぜたり、切り返したり、空気を送り込んだりしながら発酵を促進させ、完熟するのを待ちます。 およそ、4、5ヶ月、牛の糞尿は有機質肥料に生まれ変わります。 堆肥の最も大きなメリットは、農業の基本である「土」を健康にすること。だから、堆肥を使った野菜は、育成も良く、おいしくなるというわけです。 酪農家が堆肥を周辺の農家に分ける。農家からは、堆肥づくりに必要な敷ワラを分けてもらう。 農村では、そんな循環が営まれています。そうして、私たちの食卓においしくて安全な野菜が並ぶ。 牛の糞尿も、めぐりめぐって、私たちの暮らしに役立ってくれているのですね。 |
<ミルククラブ情報誌'97 AUTUMN vol.25より> |
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