堀内鑑定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:33 UTC 版)
「別府3億円保険金殺人事件」の記事における「堀内鑑定」の解説
江守教授への東京での出張尋問の最終日の1983年(昭和58年)5月21日、裁判所は新たに北海道工業大学の堀内数教授に鑑定を委嘱した。鑑定事項は、「ダッシュボード表面の損傷は、押収してあるハンマーによって形成されたものか」、ハンマーによって形成されたならばハンマーをどの方向からどのようにして形成されたかなどであった。 鑑定書は、12月20日に提出され、鑑定結果は「ダッシュボードの表面の損傷は、押収してあるハンマーによって形成されたものと推定する」であった。ただし、江守鑑定と異なり、ダッシュボードの傷は、フロントガラスを叩いて割れなかった際に跳ね返ったハンマーのくぎ抜き部分で生じたものと鑑定した。そして、江守鑑定がすべてハンマーにより形成されたとしたダッシュボードの傷のうちの一つは、ハンマーではなく着水時の衝撃で発生した歪みによってダッシュボードがV字型に変形したことによる溝であるとし、この歪みによって灰皿は飛び出したものと説明した。 堀内教授に対する証人尋問は、1984年(昭和59年)1月9日の第8回公判から1月14日の第12回公判にかけて行われた。弁護人は、科警研の転落実験では灰皿は逸脱していないこと、堀内教授が灰皿の逸脱について何らの実験も行っていないことなどを指摘し、経験から推論したものに過ぎず、科警研の実験の方が信憑性があるのではないかとただした。堀内教授は、科警研の実験の条件を十分承知していないため比較できないと答えたが、裁判官から科警研の実験のように岸壁から垂直に離岸した場合と江守鑑定のように斜めに離岸した場合に違いが生じるか尋ねられると、斜めに離岸した場合はねじれが生じるため、科警研の場合は灰皿が逸脱せず、本件の場合は逸脱したとしてもおかしくはないと答えた。
※この「堀内鑑定」の解説は、「別府3億円保険金殺人事件」の解説の一部です。
「堀内鑑定」を含む「別府3億円保険金殺人事件」の記事については、「別府3億円保険金殺人事件」の概要を参照ください。
- 堀内鑑定のページへのリンク