地歴教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 05:12 UTC 版)
相川日出雄は運動が始まった1952年度に小学4年生の授業にて「新しい地歴教育」を実践しているが、まさに相川が抱いていたのが、状況に左右されない確固たる主体性の確立と、当面日本の独立を担える主体の育成という問題意識であった。 こうした主体性の拠点と捉えたのが「民族的なもの」としての郷土であり、独立という政治的課題を担う主体の育成という課題を意識すると同時に、それは民衆の日常性に根ざすことでのみ可能との状況認識を実践に反映させることとなる。 相川は父母の労働や日常生活を児童に認識させるところから始まり、次いでフィールドワークを通して地形や石碑、古文書などに触れさせ、郷土を創り出してきた民衆の各種活動を実感させるという形式によって、郷土教育を進めていった。これらにより、歴史の中で民衆の営為が世代を跨いで積み重なり、それが保存された場こそ、自分たちが日々生活している郷土に他ならないとしたのである。 教育学者の村井淳志は相川の教育実践について、自分達の生活空間が民衆の生活や感情の積み重なった場を意識させるには、過去の民衆への共感を感じることが重要としながら、「客観的運続性を重視すること」によって「子どもたちにリアリティに富んだ歴史的想像力を発揮させることに成功した」として、肯定的に評価した。
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