地域住民の受益と負担の計測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/17 22:32 UTC 版)
「財政赤字」の記事における「地域住民の受益と負担の計測」の解説
分析の手法は、次の通りである。まず、国と地方公共団体が行う政府活動によって各地域に支出される財政支出額を、地域住民が受けた行政サービスからの「受益」として推計した。その一方で、国及び地方公共団体に対して地域住民が支払っている税金や使用料・負担金を、行政サービスの「負担」として推計した。なお、国税については、税の徴収の仕組み上の制約から都道府県ごとの税収の帰属を正確に把握できず、個別の税収総額を一定の仮定に基づき配分している。こうした推計をもとに、「受益超過」(=「受益」-「負担」)や「受益・負担比率」(=「受益」÷「負担」)を算出した。分析は、47都道府県の地域別に行い、異なる都道府県間での比較を行う観点から、人口1人あたりの受益と負担を用いている。分析の対象期間は、80年度、85年度、90年度、95年度、98年度の5時点をとり、各地域の受益と負担の関係が過去20年間で、どのように変化してきたかを検証した。 ここでの分析結果を解釈する場合、次のような点に留意する必要がある。第1に、行政サービスの中には、規模の経済性が働いて、人口密度の高い大都市圏では、地方圏よりも、住民1人あたりについて低いコストで、同一水準のサービスを提供することができる場合がありうる。そのような行政サービスについては、仮に大都市圏の住民と地方圏の住民が同一のサービスを受益していても、ここで推計される1人あたり受益額は、大都市圏の方が地方圏よりも小さくなる。第2に、地方圏に立地している産業廃棄物処理場、発電所、水源としてのダムなどは、大都市圏の住民に大きな便益をもたらしているが、ここではそうした意味での受益と負担は考慮していない。第3に、国と地方の歳入には、税金や使用料・負担金の他に、公債や財産収入などの諸収入や前年度からの繰越金などが含まれているが、それらの収入はここでは「負担」として計上していない。そのため、全国ベースで受益が負担を上回る傾向にあることに留意する必要がある。
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